エレピ、ギター、ピアノ、オルガン。〜PANをMAXにしない方が良い楽器〜 [vol.013 難しさ:ふつう]

こんにちは〜春ですね(^^)
今回は前回に引き続きステレオ。「ステレオの幅」についてのお話です。

最近の音源はとにかくステレオ幅全開というものが多い気がします。これはDAW、特にCubaseの初期設定でPANの幅を設定できないからだと思っています。

しかし、PANというのは全開(PAN 100%)にしなくてもいいのです。幅を考えてコントロールすることで表現の幅も広がりますし、音に空き地ができるので音が作りやすくなります。また、PAN 100%にした別の音がさらに広がって聞こえるようになります。

今回はステレオ幅全開にしないほうが良い楽器・シチュエーションを紹介していきます。

動画とリンクした内容ですので、動画もあわせてお楽しみください。

ミキシング・レコーディングに関する質問は質問箱▼で受付中です。

https://peing.net/ja/q/a090921a-84d2-4e6e-bf4b-601eb80244d3

エレピ+フェイザー

エレピとはエレクトリック・ピアノのこと。いわゆるピアノはアコースティック・ピアノ(アコピ)と呼ばれ、異なる楽器としてエレピがあります。具体的にはFender Rhodes(フェンダー・ローズ)、YAMAHA CP-80、Wurlitzer(ウーリッツァー、略してウーリー)などの鍵盤楽器がエレピとして扱われます。

仕組みとしてはギターによく似た構造で、そのままの音よりもフェイザーやコーラス、トレモロをかけた音が好んで使われます。音が(いい意味で)無機質なので揺れが欲しかったんでしょうね。

音色とエフェクトがモノラルであれば問題ないのですが、ステレオの場合は要注意。特にステレオフェイザーの場合はステレオ幅が広いと頭を振られるような聴きにくい音になってしまいます。(動画参照。このウネウネが好きな方もいらっしゃるようですが、僕は苦手です)

コーラスは左右にスムーズに広がりますが、フェイザー、フランジャー、トレモロなどは周期的な音量変化を特徴とするエフェクターなので、ステレオにする時は要注意です。

ステレオ幅を狭めるか、そもそもステレオでなくモノラルでも十分効果的です。L 30% / R 30%、もしくはモノラル化しても良いでしょう。

ハモンドオルガン+レスリースピーカー

筆者何を隠そうオルガンオタクです。オルガン奏者 大髙清美さんのオルガンDVDにも出演させていただきました。オルガンの音を知りたかったら大髙さんと川口千里さんのユニットKIYO*SENを聞くと最高ですよ。動画のライブ音源は筆者が収録・ミキシングしています。

オルガンオタクとして世界に広めたいのは、ハモンドオルガン音源のステレオ幅は狭い方が良いということ。

エレピ+フェイザー同様で、広がりすぎると頭を振られて聴きにくくなります。対策も同様で、ステレオ幅を狭めるか、モノラルにします。L 30% / R 30%、もしくはモノラル化しても良いでしょう。

レスリースピーカーは回転するスピーカーから音が出る仕組み。左右の動きがあるので、ステレオで収録することが多いです。しかし、重要なのはドップラー効果(救急車のサイレンの効果)であって、左右の広がりではないのです。

仕組みや昔の人がなぜエフェクトをかけたのかを考えると、どういう音の出し方が適切か見えてきますね!

アコースティックピアノ

アコースティックピアノは素晴らしいソフト音源が多く、マルチマイク(複数のマイク)で録音された音が使われています。音は良いのですが、そのまま使うとピアノに頭を突っ込んで聞くような不自然なステレオ感になる場合は多くあります。

ピアノはそもそも少し離れて聞く楽器なので、過度なステレオ感は不自然に聞こえます。このような場合も、ステレオ幅を狭めて設定しましょう。

L 50% / R 50%、もしくはそれより狭くても良いと思います。

ダブリングギター

ダブリングというのは同じ演奏を2本収録することで音の広がりを得る手法です。ディストーションギターでよく使われる手法です。

音を広げる目的なのでPANをMAXにすることが一般的。しかし筆者はPANを85%くらいに押さえて設定します。理由は、ヘッドホンにおけるPAN100%の位置にあります。

スピーカーで聞くPAN 100%は気持ちよく音が広がって聞こえます。が、ヘッドホンで聞くとどうでしょう。PAN 100%というのはヘッドホンで聞くと耳の位置より少し後ろから聞こえてしまいます。

ダブリングギターは広がりとともに圧力が重要。壁のようなギターを狙ってダブリングにすることが多いです。となると、音が後ろに聞こえると圧力が弱く聞こえてしまいます。

L 85% / R 85%くらいで設定するとスピーカー、ヘッドホン問わず程よい「壁」感が出ますので、試してみてください。

PANの幅を設定するには

Cubaseの場合、初期設定は「ステレオバランスパン」という動きになるため、PANの幅が設定できません。PANの右の▼から「ステレオコンバインパン」に変更することで、左右のPANを個別に操作できるようになります。※Cubase Proだけの機能だそうです(´;ω;`)

他のDAWでも最近はPANがバランスパンになっているケースが多く非常に不便だなと感じます。解決策としては、専用のプラグインを使う方法があります。

Studio Oneでは「Dual Pan」、Cubaseでは「Mono to Stereo」、SONARでは「Channel Tools」というプラグインがあります。

▼Steinberg / Mono to Stereoプラグイン

https://steinberg.help/cubase_plugin_reference/v9/ja/_shared/topics/plug_ref/mono_to_stereo_r.html

▼Cakewalk / Channel Toolsプラグイン

https://www.cakewalk.com/Documentation?product=SONAR&language=4&help=Plug-ins.2.html#1765708

その他、フリープラグインでもいくつかありますが、PAN(ステレオ幅)の調整以外に余計なことをするエフェクトがあるので、音質が変化しないかどうか、よく確認して使ってください。

空き地ができました

例えばダブリングギターを85%設定にすると、100%の位置に空きができます。ここにはステレオ感満点のシンセサイザーサウンドを配置することができます。音がかぶらないので作りやすく、ステレオ効果も大きくなります。

今週の宿題

今週の宿題は同じ音源をスピーカーとヘッドホンで聞いたときの「幅の差」を体験してください。ひとつの音源で差が出なければいくつか聞いていくと違いがわかってくるでしょう。

再生する場合はiTunes等再生プレーヤーでも良いのですが、DAWソフトに取り込んで再生することでメーターを見ながら音源を聞くことができます。

特にステレオ幅を監視する無料プラグインがありますので、これを見ながら聞いてみてください。勉強になるはずです。

▼Melda Production / MStereo Scope(無料)

https://www.meldaproduction.com/MStereoScope

Melda Productionのインストール方法は以下のページで解説しています。

リスナーは何で聞くかわかりませんから、どちらの環境でも聞ける音にする必要があり、ヘッドホンとスピーカーの差を知っておくことはとても役に立つでしょう。

今週の耳トレの解答

動画の耳トレはお楽しみいただけましたか?解答を記載します!

2箇所あります。

14:02(〜14:03)
14:08(〜14:09)
※1秒以下の単位についてはご容赦ください

もっと多いと思いましたか?センターを通過するのは2回だけです。最後の部分は真ん中に戻っていると見せかけて真ん中までは来ていません。

このトレーニングでは、音がどこからどこまで配置可能なのかが理解できるでしょう。また、人間の耳の感覚が比較的曖昧であることもわかるのではないでしょうか。真ん中だと思ったら真ん中に聞こえるものなのです。

おわりに

記事をご覧いただきありがとうございました。動画、記事、面白い、役に立ったというときはぜひ[活動を支援する]ボタンより支援をお願いします。大変励みになります!

次回は質問箱に頂いた録音に関する質問にお答えしていく予定です。乞うご期待!

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