ステレオにする楽器、ステレオにしない楽器 [vol.012 難しさ:やさしい]

こんにちは!

今週より模様替え。引き続き音にまつわる話題を毎週なにかしら(笑)お届けしていきます。コンセプトは音のスピードラーニング。適当に聞いておけばレコーディングやミキシングに詳しくなるメディアを目指していきます。

今回の動画はこちら。チャンネル登録よろよろしくしくです。

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ステレオとは

某アプリがステレオ化されたことでとても盛り上がっています。そもそもステレオとはなんでしょう?

ステレオとは、左と右の2つの音をセットで扱うこと2つセットで録音し、2つセットで再生します。再生するときのスピーカーは2つ必要です。

みなさんが普段聞いている音楽はほとんどがステレオです。

音がひとつだとモノラル、音に囲まれるサラウンドもあります。

モノラルの場合スピーカーの方向からしか音が聞こえません。ステレオ、サラウンドとスピーカーの本数が増えることによって音が聞こえる方向が多くなっていきます。左から、真ん中から、後ろから、などなど。高度なサラウンドの場合は上からも音が鳴らせるんですよ。

表現領域が広くなるため多チャンネルが好まれるようになりましたが、専用の再生環境が必要になるので再生できる人も減ってしまいます。中間地点として最も普及しているのがステレオという方法です。

ステレオ録音とステレオ再生

ステレオといっても、ステレオで録音することと、ステレオで再生することの2つの話題があります。モノラルで録音したものをステレオで再生し、左右の場所を調整する手法が一般的でしょう。

左右の場所の調整にはPAN(パン)というパラメータを使います。

一方で、ステレオで録音し、ステレオで再生するという方法があります。このステレオ録音は広がりや臨場感のある音になるので万能のようにも思えますが、すべての音をステレオで録音する必要はありません。

下の写真では、手前の赤いマイクはモノラル録音であり、奥の黒い2本のマイクはステレオ録音です。同じ音を異なる手法で録音している例です。

次は、ステレオ録音に向いている楽器やシチュエーションをご紹介します。

※ここで言うステレオ録音は録音だけでなく、打ち込みなども含め、ステレオの音を用意することを指しています。

ステレオ録音が向いている楽器とシチュエーション

A.楽器のサイズが大きい場合

ピアノが代表的な例ですが、楽器のサイズが大きいために実際に聞こえる音の幅が大きい楽器点ではなく複数のポイントから音が出る楽器がステレオ録音に向いています。ドラムもドラムセットの場合はステレオ録音が向いています。

B.主役のために真ん中を空けたい場合

ステレオ再生における真ん中の位置は主役のためにあると言って良いでしょう。楽器がステレオ録音となることで1点に集中していた音が分散し、主役が埋もれなくなります。特にアコースティックギター+ボーカル、つまり弾き語り構成におけるギター録音で有効です。

同じ理論で弾き語りのピアノもステレオ録音が適しています。

nanaなど歌ってもらう前提の音源を制作する場合は、ギターやピアノをステレオ録音すると歌う人が気持ちよく歌えるでしょう。

C.広がりを演出したい場合

Bに似ていますが、Bよりも広さを演出したい場合と考えてください。スピーカーは2本ありますので、スピーカーの位置までは音を広げることが出来ます。するとリスナーの目の前に広がる音が大きくなるので迫力が出てきます。

ストリングスやブラスセクション、そして広がり系シンセサイザーサウンドがステレオに向いています。

それぞれの音の例は動画を参照してください。

D.よい響きの場所で録音する場合

自宅録音が多い昨今は少ないシチュエーション。コンサートホールやレコーディングスタジオ、響きを計算して作られた場所など、美しい響きを持つ場所で録音する場合は小さな楽器でもステレオ収録が有効です。

楽器の音とその場所の響きを一緒に録音したいというケースです。

では次はステレオ録音が向いていないケースを紹介します。

ステレオ録音が向いていない楽器とシチュエーション

ステレオ録音しないほうが良いこともあります。

先程紹介した例のいずれにも該当しない場合はステレオ録音よりもモノラル録音が向いているでしょう。ステレオ録音の方が臨場感はありますが、モノラル録音の方が音は前に出て聞こえるのです。

モノラル録音の方が向いている例を挙げておきます。

A.メインボーカル、主役

最も前に、最もはっきりと聞こえて欲しい主役、メインボーカルはモノラル録音の方が向いています。

B.低音楽器

低音は処理が難しくごまかしが効かないので、ステレオ録音すると濁ってしまうことが多くあります。ベースなど低音楽器はモノラルで録音するほうが扱いやすいでしょう。

C.曲の楽器数(パート数)が多い

単純な話ですが、ステレオはモノラルの2倍の情報量があります。楽曲のミキシングはサイズが決まった箱に楽器を詰めていくような作業ですので、楽器数が多い場合は場所の奪い合いになります。

このときにステレオはモノラルの2倍の容積を使うと思ってください。楽器数が多いと細かい差も埋もれてしまうのでせっかくのステレオ録音による臨場感も生きてこないどころか不要になってきます。

楽器数が多い場合はステレオ録音よりもモノラル録音が扱いやすく、結果的に良い音になることが多いです。

D.後で加工する可能性が高い場合

ピッチ編集、タイミング編集、エフェクト加工などなど、後で加工をする可能性がある楽器やパートはモノラルが適しています。理由は編集・加工作業が楽だからです。編集時はデータ量も増加しますが、ステレオだとさらに倍!です。編集での音質変化もモノラルの方が軽微でしょう。

ステレオ録音が必要かどうか、録音するときに考えてみましょう。

例外もあります

もちろん例外もあり、部屋で歌っている雰囲気を出したい場合にボーカルをステレオ録音することもあります。が、現代においてはボーカルは修正することがほとんどで、修正が前提の場合はモノラルで録音しておくべきでしょう。

また、ベースをステレオで扱うことももちろんあります。難しいですが、扱うテクニックがあれば有効な手法になり得ます。すべてはセオリー、スタート地点なので、今回の内容を参考に色々試してみてください。

今週の宿題

今週の宿題は、こちら。

お気に入りの音源を聞いて各楽器の位置と幅を紙に書いてみる

僕が「夜に駆ける」を聞いたらこうなりました。汚くてすみません。苦笑

面白いのは曲の展開にあわせてピアノの広がり方が変わるところでしょう。また、スネアの位置が真ん中ではなく左右にあるところが面白いです。

※略称
BD:バスドラム
SN:スネアドラム
HH:ハイハット
Cym:シンバル
pf:ピアノ(ピアノの正式名称はピアノフォルテと言います)
Gt:ギター

自分の曲を改めて聞いて書いてみたものはこちら。

この曲は間奏で各楽器の配置が大きく変わるところがポイントでしょう。

※略称
Acc:アコーディオン

このくらいの汚さで良いので(笑)、音を聞いて位置と幅を紙に書いてみてください。特に「幅」に注意してみてください。ステレオ幅が狭いものはモノラルと考えられます。どの音がステレオで、どの音がモノラルなのか。曲は好きな曲で構いませんが、最近の曲だけでなく、昔の曲を聞いてみると面白いですし、感性の幅も広がります。

この宿題ではステレオ幅に対する感性を養うことができるでしょう。

今週の耳トレの答え

正解はAです!

Aがモノラルです。Bはステレオのピアノ。Cはステレオのシンセサイザー音ですが、ちょっと左寄りです。Dがトラップで、ステレオ化されたディストーションギターでした。左右の音がちょっと違うので広がって聞こえる、つまりはステレオ音源です。

ドラムはステレオに聞こえますが、よく聞くとモノラル化されているので真ん中からしか聞こえません。


次週はステレオ再生におけるステレオ幅のお話をしたいと思います。お楽しみに!

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