DAW標準でもOK!イコライザーでボーカルを前に出す方法 [難しさ:やさしい vol.082] 歌ってみたMIX / EQP-1 / Waves

パラミックス、歌ってみたMIXを問わずボーカルを綺麗に聞かせる、思ったとおりの音にする技術はミキシングにおいて必須のスキルです。特にボーカルをもっと前に出す、もっと大きくするというニーズに応えることは避けて通れません。

数多の方法がありますが、その中から考え方として役に立つ方法を3つ、連続講座でお届けします。ボーカルトラックのボリューム調整以外の方法でボーカルを聞こえやすくしてみます。

※ミキシング初心者の方に向けた内容なので、識者の方には簡単すぎる内容かもしれません。ご了承下さい。
※当サイト内の他の記事の中で同じような内容を扱っているものがあると思います。ご了承下さい。

動画版はこちら

なお、本記事及び動画はミキシングにおける考え方を示す内容なので、紹介した手法について厳密な比較を提示するものではありません。ゲインマッチなどの厳密な比較を行いたい場合は、ご自身で挑戦してみてください。

動画で使用しているデータは以下で販売しています。ご購入いただくとアーティストにも分配されますので、ぜひご活用下さい。

https://soundworksk.thebase.in/items/59372493

題材曲
Re:GO / キニナルコ

イコライザーで前に出す

早速やってみましょう。1つ目の手法はイコライザーを使って前に出すというものです。

イコライザーは指定した帯域(高さ)の音だけを上げたり下げたり(ブースト/カット)することができるエフェクトで、DAW標準でも付属しています。まずはDAW標準のイコライザーで良いので、ボーカルにイコライザーをかけてみましょう

ボーカルの高域をシェルビングイコライザーでブーストします。周波数は8kHzに設定して、8kHz以上を3dB程度上げてみましょう。

イコライザーには大きく分けて2つの動作があり、それぞれシェルビングイコライザーとピーキングイコライザーと呼ばれています。シェルビングイコライザーは、指定した帯域より高い音(または低い音)すべてをブースト/カットするイコライザーです。

いかがでしょうか?

ボーカルがぐわっと前に出てくる感じがすると思います。仕組みとしては、高域をブーストすることで音の輪郭が明瞭になることで前に出てきます。足りなければ周波数の設定を6kHz程度まで下げてみて下さい。それでも感じられなければゲイン設定を+5dB、+6dBと少しずつあげていきましょう。

ではこのままの状態で、ボーカルトラックのボリュームを3dB程度下げてみましょう。

先程より小さくは聞こえますが、イコライザーを使う前よりもボーカルの前後位置は前に聞こえるのではないでしょうか。なぜ前に出て来るのかという理由の中に、ミキシング上達の秘密が隠れています。

なぜ前に出て聞こえるのか?

理由は非常に単純です。

イコライザーで高域ブースト = 音の輪郭を明瞭にした = 近くで聞こえる音をシミュレートした

という仕組みなのです。

音というのは、音源からの距離によって音量だけでなく音質(特性)も変化します。高域は距離を経ることで大きく減衰するため、高域成分が少ない=輪郭がはっきりしない音は、遠くに聞こえるのです。

また、高域は方向性が強いため、正面から外れると急に輪郭がなくなります

イコライザーでの高域ブーストは、「近く」「正面」という2つの要素をブーストすることになるのです。

ブースト量は多すぎるとわざとらしい音になりますが、元の音の明瞭度が明らかに不足する場合はブースト量を多くしても良いでしょう。以下に目安を示します。

シェルビング・8kHz・+3dB

さらに特徴的な音にする

先ほどはDAW標準のイコライザーで高域ブーストをしましたが、さらにきらびやかな美しい音にする手法を紹介します。

イコライザーの種類を、ビンテージのハードウェア・イコライザーをシミュレートしたものに変えてみましょう。筆者のお勧めはPULTECH EQP-1Aというイコライザーをシミュレートしたイコライザーです。

もちろん実物があれば実物の方が良いのですが、なかなか買えない代物です。EQP-1Aの現代版はスタジオによくある以下の青いEQです。

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お安い復刻モデルもあるので興味がある人はぜひ。

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同じルックスのプラグインがあれば、このモデルをシミュレートしたものですのでボーカルに使ってみましょう。1台持っているとここぞという時に使えるのでぜひ手に入れておきましょう。筆者が良く使うのはAvidのものか、以下のWaves Puigtec EQP-1Aです。

Waves PuigTec EQP-1A

Waves Puigtec EQP-1Aは、Waves JJP Analog Legendsバンドルに入っています。バンドルがかなりお得なので、どうせならバンドルをお勧めします。

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使い方ですが、3つのパラメーターのみ操作します。

HIGH FREQUENCY:8kHz
HIGH BOOST:+3
BAND WIDTH:10

いかがでしょうか?DAW付属のEQよりも美しくなめらかな高域が出てきて、ボーカルにはピッタリです。このEQにおいても不足する場合は[BOOST]をあげていきましょう。

このEQP-1AにはBOOSTとATTEN(アッテネーション=カット)を同時に行うことで異なるEQカーブを作るという特徴的な使い方があるのですが、ここでは使いません。上記の通り、単純にブーストEQとしてのみ使用しています。

このように、同じイコライジング(イコライザーをかけること)でも異なる音になります

EQP-1Aでは美しさを感じる音でしたが、逆に荒々しいイメージにしたい時はNEVEイコライザーをシミュレートしたプラグインにしてみてください。同じようなイコライザーをかけても全く異なる印象の音になります。

WavesではV-seriesバンドルに含まれるV-EQ3がビンテージの1073イコライザーをシミュレートしたプラグインです。また、同バンドルのV-EQ4はNEVE 1081コンソールのプラグインで、筆者はV-EQ4が好きで良く使います。EQP-1Aか、V-EQ4のどちらかを使うことが多いです。

これらも同じく単品よりもバンドル購入の方が圧倒的にお得です。

Waves V-EQ3
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1つ目の手法をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。

ポイントはなぜ前に聞こえるのか?ということを理解することです。後は好きなイコライザーを使えば良いです。なぜ前に出るのかが理解できれば、ミキシング全体に良い影響をもたらすはずです。ぜひ色々なイコライザーで同じことをやってみてください。

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