リバーブサウンド改善講座 その2「リバーブ前EQ」リバーブ入力音量を最適化する  [難しさ:ふつう vol.111] リバーブの使い方

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ミキシングにおいて使わないことはほぼ無いとも言えるエフェクト、リバーブ。しかしリバーブが思うように響かず、結局音量を下げてしまう人も少なくないようです。近年はリバーブが少ないミキシングが増えましたが、良いリバーブが少ないことと、リバーブをうまく使えない人が増えたことが背景にあると予想しています。

※筆者はリバーブが多いミキシングが好きです(*^^*)

リバーブには手を付けずにリバーブの響きを美しくする方法を紹介する記事の第2回。今回は前回のリバーブ前コンプに続き、リバーブ前EQをお伝えします。理屈は前回のリバーブ前コンプと同様。リバーブに入力される音質を改善することで響きを綺麗にしてみましょう。

リバーブサウンド改善講座 その1「リバーブ前コンプ」リバーブ入力音量を均一化する

動画版はこちら

初心者の方は、以前公開した「リバーブ集中講座」も読んでみてください。

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リバーブ前段にEQをインサートし、リバーブ入力音をリバーブの響きに最適化する

基本的な手法と考え方は前回のリバーブ前コンプと同じであり、前述の過去記事でも紹介していますが、深掘りしていきましょう。

まずはリバーブ無しの状態で、ボーカルトラックの音作りを済ませてください。

次いでリバーブ前コンプ同様にボーカルトラックにセンドリターン形式でリバーブを用意し、多めにリバーブをかけて、ソロで聞いてみましょう。リバーブは何でも良いですが、大きすぎないホールリバーブがわかりやすいと思います。

以下ではRELAB DEVELOPMENTのLX480 Essentialsリバーブを用いています。Lexicon 480Lリバーブ(スタジオ定番のハードウェアリバーブ)を模したプラグインですが、安価であり、パラメーターが少なく使いやすいです。上位版のDual-Engineでなく下位版のEssentialで十分使えます。

ボーカルにリバーブをかける
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リバーブの音質を調整するためにはリバーブ内部のEQ、もしくはリバーブ後段にEQをかけることが多いと思いますが、リバーブ前段にEQをインサートしてみましょう。この時に、Waves F6-RTAなど、アナライザー付きのEQを用いると設定をスムーズに行うことができます。

リバーブエフェクトへの信号の流れ
リバーブ前にイコライザーをインサートする

EQのアナライザーを見ながらボーカルをソロ再生して、リバーブに入力される音のスペクトラム(周波数分布)を見てみましょう。リバーブ音が確認しやすいように、リバーブ音量を大きめにしておくのがコツです。

なお、ボーカルからのリバーブセンドは-6dB〜0dBと大きめに設定して、リバーブエフェクトに十分な音量が入力されるようにします。したがって、この段階(リバーブを使っているのがボーカルだけ)では、リバーブ音量はリバーブトラックのフェーダーで調整しましょう

以下の画像で並んでいるフェーダーは、左からボーカルトラック、ボーカルからリバーブへのセンド、リバーブトラックのフェーダーです。

リバーブセンドを大きめにして、リバーブ音量はリバーブトラックフェーダーで調整する

続いてピーキングEQで300-500Hzあたりの任意の帯域を狭めのQでブーストします。スペクトラムを見ながらスイープさせて聞いてみましょう(周波数を動かしてみましょう)。すると、響きが不快になる周波数とそうでない周波数があることがわかります。

任意の帯域をスイープさせながら音を聞いてみる

音が不快に感じる周波数は、いわばそのリバーブが苦手な帯域といえます。正確には、モデルとしたリバーブの部屋や空間で過度に響いてしまう周波数だと考えれば良いでしょう。この帯域を大きくカットして聞いてみましょう。リバーブ音がすっきりするのがわかると思います。

なお、周波数はリバーブの種類や入力される音によっても変わるので、臨機応変に対応してください。

響いてしまう帯域をカットする

それでは全体で聞いてみましょう。

リバーブ入力音を調整しただけで、全体の響きが綺麗になるのがわかると思います。リバーブエフェクトとはいわば響きの後付であり、増幅装置であると言えます。したがって、入力される音が最適化されていないと、余計な音が増幅されてしまい、曲全体の響きを邪魔してしまうのです

リバーブの不要な響きは全体で聞いていると気づきにくいのでなかなか厄介なものです。ミキシングの後半で理由はわからないけどスッキリしない、もわもわ感があるという場合は、リバーブの余計な響きが悪影響を及ぼしていることが多いです。

最後に、リバーブトラックの音量を下げて、適切なリバーブ量に調整しましょう。

リバーブトラックの音量を下げて調整する

さらにアグレッシブな調整に挑戦する

リバーブの入力音に対してEQをかけているため、アグレッシブな設定をしても全体への影響は軽微です。思い切った設定をいくつか紹介しましょう。

低域をバッサリカットする

パート数が多い楽曲では低域をいかにクリアにするかがミキシングのキーポイントとなります。リバーブの低域というのは低域のスッキリ感に対して非常に大きな役割を持ちます

パート数が多く低域のやりくりに苦労している場合は、思い切ってリバーブ入力音の低域をLCF(ローカットフィルター)でカットしてみましょう。下の画像では1000Hzで-6dB/octのスロープでカットしています。ローをカットするというよりは、ローカットフィルターで低音の量を調整するイメージです。この手法はボーカルに対して使用するよりも、楽器のリバーブに対して使用すると効果が大きいのでやってみてください。

リバーブ入力音の低域をカットする

リバーブの設定を変更していないのに響きが変わるのがおわかりいただけるでしょうか。

スロープは強すぎると低域の響きがなくなり不自然になりますので、-6dB/oct、多くても-12dB/octが良いでしょう。周波数を動かして、程よい響きになる周波数設定を探してみてください。全体で再生しながら設定を決めるのがコツです。

ダイナミックEQを併用する

リバーブに余計な響きの元となる帯域が入力されないようにすれば良いので、リバーブ入力音にダイナミックEQを使用するのも有効です。ダイナミックEQを使用した場合は音が大きい時だけ抑え込むことができ、音が大きくない場合は響きを失わずにすみます。ボーカル等の音量差、音量変化が大きい入力音に対して有効です。

先程のように余計な響きが生まれる場所や、響きが大きすぎて聞きにくくなってしまう帯域を探して抑え込みましょう。

下の画像では、951Hzと360Hzの2箇所をダイナミックEQで抑え込んでいます。このダイナミックEQについても、メインボーカルの音ではなくリバーブ入力音なので、かなりアグレッシブな設定が可能です。アタックタイムは最速にして確実に抑え込みましょう。

ダイナミックEQでピークを抑え込む

リバーブ前コンプと併用する

最後に、前回の技であるリバーブ前コンプと併用してみましょう。リバーブ前EQで整えられた音をさらにコンプレッサーで圧縮することで、リバーブのかかり具合を均一にします。リバーブ前EQでは周波数特性を、リバーブ前コンプでは音量を整えるイメージです。

リバーブEQ後段にコンプをインサートする

リバーブ前コンプをかけると響き方が変わってきますから、再度EQを調整する必要が出てくるでしょう。特に中高域の響きが耳につくようになってくるので、追加でダイナミックEQを設定してコントロールすると良いでしょう。

リバーブ前コンプも併用する

このようにリバーブ前の音を調整することで、リバーブを変えずとも響きがよくなることが体感できると思います。この手法を身に着けていれば、どんなリバーブでもそれなりに響かせることができるので、リバーブ選びの幅が大きく広がることでしょう。

リバーブ後にEQをかけても同じ?

最後に実験をしてみましょう。

リバーブにEQがあることもありますし、リバーブ後段にEQをかけることもできます。リバーブ前EQとどちらが良いのでしょうか。試しにリバーブ前に作ったEQをリバーブ後に移動してみましょう。

左がリバーブ前EQ、リバーブ後に複製した

これは経験則ですが、リバーブ前EQの方が馴染みがよく、スッキリとした音になることが多いです。リバーブ後のEQでも同じような効果は出せますが、ややわざとらしい音質になるように筆者は思っています。

この特性はむしろ逆用することができます。リバーブの音を変化させることで、ボーカルそのものの音を調整するためにリバーブ後EQが有効です。例えばリバーブ後EQで高域をシェルビングでブーストするとボーカル全体がきらびやかになります。

ボーカルの音質調整に活用する

このように、前後どちらでも同じような効果は出せますが、ミキシングの考え方や効率の組み立てを行う上で、前後EQの役割分担をして使うとわかりやすいでしょう


どのようなシチュエーションにおいても「後から良い音にする」よりも、「予め良い音にしておく」という考え方を体に染み込ませることが重要です。この考え方に倣えば、リバーブに入力される音をリバーブに最適化しておくことが重要になりますから、リバーブ前EQでリバーブ用の音を作ることを優先すべきでしょう。

現代においてリバーブが少ないのは、綺麗に響いたリバーブを知らない方が多いためだと考えています。リバーブに入力される音に意識を向けて、綺麗に響くリバーブを作ってみてください。楽しいですよ(^o^)

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