MIXでのVUメーターの使い方 読み方3つのポイント 音圧調整の確認  [難しさ:やさしい vol.069] YouTube・マスター用の音量調整

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MIXにおいては色々なメーターを活用することでクオリティアップを図ることができます。

近年はラウドネス・メーターというものが開発されたためラウドネス・メーターが多用されますが、昔から使われているVUメーターというメーターもまだまだ現役。場合によってはラウドネス・メーターよりも良い感じに音圧を整えることができます。

この記事では歌ってみたMIX・パラミックス等のマスター音圧調整でのVUメーターの使い方を紹介しています。

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ご注意
この記事で紹介している使い方は、あくまで音楽のミキシングにおいて音量感の目安としてVUメーターを使う方法です。VUメーターは-12dB設定にしつつ、機器類の基準レベルは-18dBFSで運用し、必要に応じVUメーターも-18dB設定に変更して運用しています。放送、映像制作、マスタリング等、VUメーターで緻密な監視を行うことを必要とする場合は、それぞれの業界・スタジオ等の基準にあわせてご活用ください。
※2024年4月1日よりJAPRS(日本音楽スタジオ協会)で推奨される基準値が-18dBFSになります。
https://www.japrs.or.jp/news/4029/


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VUメーターのための基礎知識

VUメーターとは

VU(Volume Unit:ボリューム・ユニット)メーターとは音量を計測するメーターの1種で、ざっくり言うとスピーカーで聞いている音量感に近い表示をしてくれるメーターです。よく使われているピークメーター/トゥルーピークメーターがピッタリ・細かい表示をするのに対して、良い意味でかなりアバウトなメーターです。

VUメーター(ブイユーメーター、VU Meter)とは音響機器に於いて音量感を指示するための測定器である。1939年にベル研究所及びCBS、NBCにより通信線路の基準レベルを監視するために開発された。VUとは英語のvolume unit(音量の単位)のこと。

Wikipediaより

ピークメーター/トゥルーピークメーターは音が歪まないように「データとしての音」を監視するものだとしたら、VUメーターは「空気としての音」を監視するようなイメージです。

なお、ラウドネスメーターは両者の間くらいの位置づけだと思えば良いでしょう。

アバウト側 > VUメーター > ラウドネス・メーター > ピークメーター/トゥルーピークメーター > 正確側

もちろんVUメーターも計測機なので正確なのですが(苦笑)、音楽のミキシングにおいては「このくらいの音量感になってます」というのを目で見るために使われると思ってください。

個人的な感覚ですが、ラウドネス・メーターは正確な数値で音量感(ラウドネス値)を示してくれるので便利ですが、故に数字に縛られすぎて悩んでいる方を多く見かけます。ラウドネス・メーターはもともと放送系の需要で作られたものなので正確な数値が必要だったのですが、音楽はそもそももっと緩くても良いので、ラウドネス・メーターは音楽には厳しすぎるとも言えます。

VUメーターで作る→ラウドネス・メーターで確認する
ピークが超えないように(歪まないように)トゥルーピークメーターは常に監視

というコンビネーションで使うと良いでしょう。

音圧で悩んでいる人は使ってみてください。

メーターに関する特徴

VUメーターは色々な環境で使われ、それぞれ異なる基準で調整が行われます。

調整というのは「〜という音量が入力された時にVUメーターが〜の位置を指すようにする」ということです。デジタル全盛の現在では「0(ゼロ)」は超えたらいけないもので、「超えたら即歪む」というのがデジタルです。

しかしVUメーターは0を超えても良いメーターなのです。ついでにいうと振り切れても良いです。ちょっと変わっています。

つまり、デジタルのピークメーターとは示している値が異なるのです。

とは言うものの、それぞれバラバラの基準で使うと指示される値がめちゃめちゃになって使いにくいので、双方の基準値をあわせる必要があります。VUメーターの「0(ゼロ)=0VU(ゼロ・ブイユーと読みます)」をデジタルのメーター(ピークメーター)のいくつに合わせるか?というのを決める必要があるのです。

レベルを扱う際に「dB(デシベル)」という単位で会話をしますが、実はデシベルは色々あって、それぞれ異なる音量・信号の大きさを指しています。例えばデジタルでのdBはdBFS(=デシベル・フルスケール)であり、アナログ・ミキサー等プロ用オーディオ機器ではdBv(=デシベル・スモールブイ、0dB=0.775V)が使われます。dBV(=デシベル・ラージブイ、0dB=1V)もあります。

この辺りの話は難しいので割愛しますが、どこかの**dBを0VUに合わせる必要がある「基準値を決めて使うものである」ということを覚えておいてください。

使い方

基準を設定する

メーターの基準値を合わせます。プラグイン版の場合はヘッドルーム・リファレンスレベル等の設定値を「-12dB(-12sBFS)」にしましょう。

一般的には-16dB,-18dB等の値で使う方が多いと思いますが、僕は昔から一貫して「-12dB」設定で使用しています。以後のメーターの読み方等が「-12dB設定」で説明してあります。

「-12dB設定」で振れ方が大きすぎて使いにくい場合は-16dB,-18dBなど低い値に、振れ方が小さい場合は-10dBなど大きな数値の設定値を使ってみると良いでしょう。

(スタジオごとに設定が決められていますので、貸しスタジオの場合は無断で変更しないよう注意しましょう)

なお、ハードウェアVUメーターの場合は1kHzのサイン波という信号を送って調整します。「-12dB」のサイン波を発生させ、VUメーターが0を指すように調整します。下の画像ではCubase付属の[Test Generator]というプラグインを用いて「-12dBのサイン波という信号」を出力しています。VUメーターがゼロを指しているのがわかります。

プラグインでサイン波を発生させる場合は、モノラルトラックで-12dBのサイン波を出すとステレオ出力した際にレベルが下がるので注意が必要です。ステレオトラックでサイン波を発生させるようにしましょう。

接続場所・どこにインサートして使うか

VUメーターは色々なシチュエーションで使用できますが、完成音源の音量感を見るためにはマスタートラックの最終段にインサートして使用します。VUメーター以降にエフェクトがあると聞いている音とずれてしまいますので、必ず最後段にしましょう。

唯一ラウドネス・メーター等の計測プラグインのみ、VUメーターより後段にいても大丈夫です。

ハードウェアの場合はオーディオインターフェースから出力された後の音を聞けるようにしましょう。モニターコントローラー等を使用している場合は、モニターコントローラーの後段に使うと音量が変わってしまいますので、モニターコントローラーの手前(ボリュームの手前)に使うようにします。

基本的なメーターの読み方

ここから紹介する読み方は、あくまで僕の使い方です。特にこの使い方が正しいというわけではありません。

色々な情報が読み取れますが、押さえたいのは3つの読み方です。

その1 全体の音量感を読み取る

作っている曲の音量感を読み取ってみましょう。以下の2点に気をつけて観察してみてください。

  • ボーカルが無い時(カラオケ状態)で0VU周辺、ボーカルが入ったら0VUを超える
  • サビは0VUを超える、静かなセクションは0VUに届かない

この項目は楽曲全体の音量感を見るものです。上記の目安から大きく離れていなければ致命的に大きい/小さいということは無いでしょう。重要なのは0VUを基準にして、大きくしたいところは大きく、小さくしたいところは小さくなっているか、という点です。

ボーカルのいない時
ボーカル入りのサビ

最近多いラウドネス・メーターのIntegrated Loudnessで判断する方法は、平均値に近い数値が出るため音楽には不向きです。

VUメーターの場合は「この曲は**VU」という判定をしてくれません。つまり、継続的に観察する必要があるのですが、音楽はその方が良いのです。

もちろんこれは基準値なので、「この曲は大きめにしたいから1VUを基準にして調整しよう」など、曲によって増減させて読み取っても良いでしょう。

その2 主役(ボーカル)の音量が正しいかを確認する

何が大きいかを読み取れるのがVUメーターの利点でもあります。デジタル表示ではなく指針表示の長所かもしれません。

VUメーターは、楽曲の中で何が大きいかに反応してくれます。つまり、ボーカルを大きくしたい場合は、ボーカルにあわせて針が動いているかを確認しましょう。ある程度追従した動きが見えれば、ボーカルが大きいバランスになっています。

  • ボーカルが大きい予定の時に、針がボーカルに合わせて振れる

逆にボーカルを大きくした予定なのに針が追従しない場合は、音量が小さいか、音の質が良くない(スカスカ)可能性がありますので見直しましょう。

逆に、エモ系のバンドサウンドなど、オケにボーカルを埋めたい場合は、VUメーターの針がボーカルに追従しないかを確認して使用します。

ボーカルだけでなく、ソロなど、音を大きくしたい・きっちり聞かせたいものに針が追従するかを確認しましょう。

その3 意図せず大きくなっているパートがないか確認する

その2と類似しますが、デジタルデータ上で大きいものではなく、音が大きく聞こえるものに針が反応するのがVUメーターの特徴です。したがって、大きくしたつもりがない音・パートに対して針が反応する時は音量が大きすぎる可能性があります。

特に低域が聞き取りにくい環境でミキシングした場合、ベースの音量が大きすぎるという状況が発生しやすくなります。このような場合にVUメーターがあると針が大きく振れますので、予定より何かが大きいことに気づくことが出来ます。

整理されていない低音は再生機器を歪ませる原因になりますから、VUメーターでよく監視しておく必要があります。

  • 大きくしたつもりがないパートにVUメーターが反応しない

以上の3点がわかればVUメーターは十分活用できるでしょう。

一歩進んだ使い方

基本を押さえた人にはさらに進んだ使い方をお伝えします。

針がどのくらい張り付くかを観察する

特に音圧の大きな音源を作りたい時の方法ですが、どのくらい針が張り付くかを観察します。

90年代の音圧戦争時は、常に張り付くように調整して音を作っていました(笑)。

VUメーターの使い方は人それぞれというのがわかる事例でもあります。デジタルのメーターのように「〜だから〜になる」「0を超えたら即歪む」「〜になったらいけない」という種類のメーターではないのです。

基準値を自分好みに設定する

先述しましたが、基準値は-12dB以外でもOKです。

例えばYouTubeのラウドネス基準値である-14LUFS程度の音源に仕上げたい場合は、VUメーターの基準値を-16dBくらいにして音を作ると、良い感じに-14LUFS周辺の音圧に整えられるでしょう。

慣れてきたら自分のミキシングスタイルに合わせて最適値を探してみてください。

お勧めVUメーター

VUメーターはもともとハードウェアですが、プラグインとしてソフトウェア化され、リリースされています。

結論的にはハードウェアの方が良いのですが、計測器という性格上非常に高価であることが難点。まずはプラグインで用意して、余裕が出来たらハードウェアを購入すると良いでしょう。

プラグイン版のお勧め

Waves VU Meter

スタンダードなVUメーターで、見やすいです。

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単品販売の他Platinum以上のバンドルには収録されているようです。

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TBProAudio mvMeter2

無料のVUメーター。まずはコレを使ってみるのが良いでしょう。針の動きがやや固いのが難点ですが、最初の1台には良いと思います。

https://www.tbproaudio.de/products/mvmeter2

ハードウェアのお勧め

ハードウェアは大きく分けて放送局等できちんと使える「色々な基準を正確に満たしたもの」か、「一応VUメーターとして使えるもの」かという2種類があり、価格が大きく違います。

ミキシング用途の場合は「振れ方」を見るので、後者でも概ね事足ります。もちろん予算に余裕があれば前者を選ぶと良いでしょう。VUメーターはそもそも計測器なので高いということを覚えておいてください(;・∀・)

TOMOCA AMU-2SII

VUメーターの大定番。迷ったらコレで良いと思います。

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HAYAKUMO FORENO STEREO VU METER

実物を見るととてもカッコいいVUメーターです。また、コンパクトで奥が短いのでデスクトップにはちょうど良いサイズ。見ると欲しくなります。

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Shinya’s Studio Sifam Small VU

レコーディングエンジニアさんが機材を作るガレージメーカー、Shinya’s StudioさんのVUメーター。最高にコンパクトで、かつ信頼性も高いのが特徴です。メーターユニットは定番のSifam製が使われています。

https://store.shinya-s-studio.com/ca8/84/p-r-s/

えんまさんのVUメーター

機材製造系DTMer えんまさんがVUメーターを作っています。僕はメーターは持っていませんが、えんまさんに作ってもらった電源ケーブルを愛用しています。詳細はお問い合わせを!

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