レベル管理の味方!無料のRME純正メーターDigiCheck NG(ベータ版)
ミキシングをする人にとってレベル管理は重要なタスクです。DAWのメーターでもレベル確認はできますが、より多くのポイントでレベル監視をした方が安心ではあります。ざっくり言ってしまえば、DAW内のメーターだけだと信用できないということです。
作曲、アレンジ用途であればDAWでレベル監視をしておけば十分だと思いますが、僕の場合は人から依頼されてミキシングやマスタリングをする立場なので、確実なレベル監視をしたいという思いがあります。また、メーターというのは普段から見ているからこそ役に立ちます。色々な音源でメーターがどのように動くか知っているからこそ問題があるときに気づける訳です。
つまり、DAWでの音楽制作以外の場合も動くメーターが好ましいのです。iTunes音源に対しても各種メーターが動いてほしい。端的に言えば、DAWを起動せずに動作する信頼できるメーターがほしいということです。
この用途に応えてくれるのがRMEがリリースしているメーターソフトウェア、RME DigiCheck。DAWからは完全に独立したソフトとして起動し、DAWから出力されたオーディオインターフェース部分での信号を監視することができます。ピークメーターからスペアナ、ラウドネスメーターもリサージュもあります。無料です。
※ただし、RMEのデバイスが接続されていないと動きません(;´∀`)筆者はRME Digiface USBをメーターのためだけに接続しています。
▼RME DigiCheck (現行)Download
https://synthax.jp/download-digicheck.html
▼旧DigiCheckとオーディオインターフェースのレビューはこちら
https://soundworksk.net/liverecording-system/
目次
Mojave化したら旧DigiCheckの動作が不安定に
自宅スタジオのMac Pro Mid2010をHigh SierraからMojave化したところ、旧DigiCheckの動作に問題が出るようになりました。描画が追いついていない感じで、カクカクと遅れて表示されます。
メーターの場合はリアルタイム性が非常に重要ですから、これだと使い物になりません。DigiCheckはかなり気に入って使っていたのでガックリしていたのですが、RMEのサイトをよく見ると新しいDigiCheckを開発中であり、ベータ版が配布されているとのこと!User Forumで配布されています。
▼DigiCheck NG for macOS X – preview v0.85 available
https://forum.rme-audio.de/viewtopic.php?id=30796
早速ダウンロードして使ってみたところ、特に問題なく使用できました。以降、このDigiCheck NG(New Generation)の紹介をしていきます。
ちなみに旧DigiCheckの動作環境はこちら。
DIGICheck 0.73 for Mac OS X (Intel CPU)
https://synthax.jp/download-digicheck.htmlより引用
更新日:2018/9/14
対応製品:HDSPeシリーズ、FireWireおよびUSBシリーズ
対応OS:Mac OS X (Intel CPU)*
機能:EBU R-128 Meter、ITU weighting搭載Surround Audio Scope、Stereo / Multichannel / Global Level Meter, Spectral Analyser, Vector Audio Scope, Correlation Meter, Bit Statistic & Noise、これらが使用可能。 Playback(再生)データはCoreAudio経由では表示できません。ハードウェア・レベル経由でのみ表示可能です。DIGICheck for Mac OS Xでは、Channel Status Display と Global Record は使用できません。
* DIGICheck 0.73 for Macは、64 bit非対応のためCatalina 10.15以降のMac OSではご使用になれません。
Mojaveは32bit動作をサポートする最後のMac OSで、Catalina以降は64bitのみ。ここに引っかかって旧DigiCheckもNGの開発が必要になったのでしょう。読む限りではMojave上で動きそうですが、旧DigiCheckはMac Pro Mid2010 x Mojave上で動作に問題が出ました。Mid2010でなければ動くのかもしれません。
▼ちなみに筆者の環境はこちら
▼筆者が使用しているオーディオインターフェース RME Digiface USB
ADAT IN/OUTが4系統のみという男らしいオーディオインターフェース。外部にADDA必須です。
レイアウトを自由自在に変更できる7種類のメーター・モニタリングツール
RME DigiCheck NGでは7種類のパネルがあり、組み合わせてレイアウトを構成することができます。それぞれのパーツはInstrumentと呼んでいるようです。
なにはともあれ、まずは表示を見てみましょう。こちら!
いや〜いいですね(笑)。これは4つのInstrumentを組み合わせた状態です。別の組み合わせで見てみましょう。
DAWとオーディオインターフェースの間に位置するメーターということになりますから、DAWのメーターやプラグインのメーターの動作、信頼性と関係なくレベル管理が可能です。生まれた時代が悪かったのか、どうもDAWのメーターを信用できない傾向にあります。胡散臭いというか(笑)。実際は信頼できるんですけど、ハードウェアメーターで育ってきたからかもしれません。
細かいところを見ていきましょう。
一応勉強しようかとヘルプを見てみましたが、ヘルプはまだありませんでした。ベータ版ですからね。
Insrument(各メーター)の紹介
先述の通り7種類のメーターがあります。順に紹介していきます。
なお、全てのメーターはサイズを変更できます。画面いっぱいにすることも可能ですし、小さく画面端に表示することも可能です。
Two Chanel Level Meter
ステレオのレベルメーターです。中央2本はピークメーター、両端はRMS、下段はPhaseメーターです。調整項目も多く、用途や好みにあわせた調整ができそうです。ピークメーターは[Intersample Peak]の項目をONにすることでトゥルーピークメーターになります。
Multichannel Level Meter
マルチチャンネルのレベルメーター。オーディオインターフェースの入力を監視できます。入力ですので、注意。RMEの場合はTotal Mixもあるので、あまり使わないかもしれませんね。
Spectral Analyser
30バンドのスペクトラム・アナライザー。これは必携ですね。これがあればDAW側のスペアナは不要です。
Vector Audio Scope
リサージュです。これも相当嬉しい、、、DAWのどのプラグインのリサージュ表示よりも気に入ってます。オシロスコープで育った人間なので、、、苦笑。
Surround View
6つの出力をサラウンド出力として表示するサラウンド環境用のメーター。Input Selectで対象の出力を選択できます。僕はサラウンドのお仕事が無いので使わないと思いますが、便利そうですね。
R128 Loudness Meter
ラウドネスメーター。Input Selectで選択したチャンネル数によって変化するので、ステレオ用にもサラウンド用にもできます。MがMomentary、SがShort Term。IはIntegratedですが、Integratedを計測するには再生ボタンを押す必要があります。DAWと同期するわけではありません。
Surround View with R128
前述のSurround ViewとR128 Loudness Meterの複合メーターです。
他社製オーディオインターフェースでは本当に使えないのか?
これだけ有能だと様々な場面で使用したくなりますね。RME製品用となっていますが、本当に他社のオーディオインターフェースでは使えないか見てみました。
上記画像はAudio Device Setup画面。オーディオインターフェースを選択するメニューです。TASCAM US-20×20をUSB接続した状態での表示ですが、US-20×20は表示されず、RME Digiface USBだけが表示されています。無理みたいです(苦笑)。
おわりに
色々使ってみましたが、これが無料!というのがすごいです。筆者は試行錯誤の末、以下のレイアウトに落ち着きました。
ステレオ仕事が多いので、ステレオミキシングに照準を絞ったセッティングです。
改善希望点を挙げるとすれば以下でしょうか。
- ラウドネスメーターの設定項目が少ない。
- ラウドネスメーターの表示を小さくしたときに、メーターの表示下限値が-10LUFS固定となってしまう。ジャズとかやるとほぼ表示されない。
- 横に並べられるInstrumentの最大数が2つになっている。3つ以上並べたい。
- VUメーターがあれば完璧。
ほぼ好みですね。笑
このようにRME製品であれば無料で使えう万能メーターDigiCheck。使ってみてはいかがでしょうか。
ミキシングを中心にレコーディングからマスタリングまで手がけるマルチクリエイター。一般社団法人日本歌ってみたMIX師協会代表理事、合同会社SoundWorksK Marketing代表社員。2021年よりYouTubeチャンネル「SoundWorksKミキシング講座」を展開中。過去には音響機器メーカーTASCAM、音楽SNSサービスnanaのマーケティングに従事。