AKG C480B Combo w/CK61 レビュー 〜金物・管楽器に強い万能マイク〜
スティックタイプのスモールダイアフラム・コンデンサーマイク、AKG C480B Combo (w/CK61)のレビューです。
目次
ありのまま、目立たない。ライブ収録で使いやすいコンデンサーマイク。
マイクメーカーとしてはNEUMANNと並ぶ老舗ブランドAKG。C414が有名ですが、他にも良いマイクがたくさんあります。スティックタイプではライブPAやハイハット用として多用されるC451Bが有名ですが、個人的にはC451よりもお勧めのマイクがこのAKG C480B Combo (w/CK61)です。
C451Bの音はややざらついた印象がありますが、AKG C480B Combo (w/CK61)にはザラザラ感がありません。一方NEUMANN U 87 Aiと比較すると粒度はやや落ちますが、問題にはなりません。粒が細かいというよりは硬質な音です。
この写真では細長い方のマイクです。(大きいのはバスドラム用のbeyerdynamic TG D70d)
そのサウンドは、コンデンサーマイクを知った人が「コンデンサーマイクの音」として想像するものと相違が少ないでしょう。繊細で高域が綺麗に伸び、脚色の無い綺麗なサウンドです。
世のコンデンサーマイクはそれぞれ音に特徴があり、「ありのまま」というよりは、「マイクの色がつく」というものが多いでしょう。しかしこのAKG C480B Combo (w/CK61)は「ありのまま」という形容がふさわしいマイクといえます。聞いた音そのまま。太くも細くもなりません。
以下の池田篤さんのサックス・ソロライブで使っています。このライブで使用したマイクは映像に写っているメインマイクAKG C480B Combo (w/CK61)と会場後方のAKG C214のみですので、わかりやすいと思います。
金管楽器には特に向いています。ソロでさらに太くしたい場合は他にも色々な選択肢がありますが、アンサンブルの中での金管楽器、特にPOPSなど楽器数が多い場合は程よい情報量です。
こちらの土岐英史さんと片倉真由子さんのデュオ・ライブの時もサックスに使用しています。黒くて小さいというのは目立たないということでもあるので、ライブでも使い勝手が良いです。2本立っているのはアルトとテナー用です。
軽量かつスリムな形状でドラムトップへのX-Y配置に最適。
金属(金物)との相性が良いので昔からドラムトップにも多用します。筐体が細いため設置自由度が高く、X-Y配置も簡単です。重量が軽いため、マイクスタンドへの負担も極小です。
X-Y配置:ステレオ収録のマイク設置方法。2本のマイクのダイアフラム位置を合わせるため、A-B配置に対して2本のマイクの時間差・位相差がなく、中抜けの無いまとまった音が得られる。逆に言うと広がり感はA-Bより弱い。
ドラムセットは故村上ポン太秀一さんのセットです。素晴らしい音でした、、、!
ドラムの音が最もまとまって聞こえるのはドラマーの後方50cmまたは頭上50cmだと思っています。この位置で聞く音はドラマーが聞く音に近いため、この位置でAKG C480B Combo (w/CK61)にて録音した音はドラマーには大変評判が良いです。
以下の動画で聞けるドラムサウンドでもX-YセッティングのAKG C480B Combo (w/CK61)を使用しています。(もちろん複数のマイクの音が混ざっていますが。苦笑)
軽いというのはセッティングにおいては有効な要素で、マイクスタンドを選ばないので楽です。
低音がファット、ブーミーな音ではありませんので、上記のセッティングでは聞いている音には近いものの低音は不足することが多いです。とはいうものの、普通はバスドラムやスネアにはオンマイクが立ちますから、トータルサウンドで不足を感じることは少ないでしょう。
高耐入力140dB SPL。ステレオX-Yをやるなら最適解のひとつ。
ドラムに限らず単一指向性マイクでのステレオ収録、X-Y配置を行う場合は最適解のひとつと言えるでしょう。無指向性マイクによるステレオ収録をする場合はDPAやEarthworksの方が好きですが、単一指向性の場合は間違いのない選択肢であり、筆者のサウンドの特徴のひとつともなっています。
以下の曲ではピアノの収音をオフマイク主体で行っていて、AKG C480B Combo (w/CK61)のX-Yをメインにしています。
X-Y配置にはステレオバーが便利です。
また、仕様がなかなか熟成されており、耐入力が140dB SPLというのは特筆すべきポイントでしょう。かなりの大音量音源にも耐えられます。
形式 コンデンサー型
メーカーサイトより引用
周波数特性 20Hz~20kHz
開回路感度 -34dB re 1V/Pa
最大音圧レベル 140dB SPL(パッドOFF、THD 0.5%)
等価雑音レベル 11dB SPL(Aウェイト)
パッド 6/0/-10dB
ローカットフィルター Flat/70Hz(12dB/oct)/100Hz(12dB/oct)
インピーダンス 150Ω以下
電源 ファンタム DC48V/2mA以下
端子 XLR(3P)
寸法(φ×H) 21×173mm
質量 115g
付属品 マイクホルダー(SA60)、ウインドスクリーン(W32)、
キャリングハードケース
とにかく、AKG C480B Combo (w/CK61)が2本あれば、聞こえている音はなんでも録れる、そんな気にさせてくれるマイクです。
マイクカプセルの交換も可能!プリアンプとマイクユニットが分離可能。
C480B ULSプリアンプとCK61 ULSカプセルという2つのパーツで構成されており、カプセルはネジ式であるため簡単に取り外すことができます。無指向性のCK62 ULSカプセルもラインナップされており、交換することで無指向性マイクにすることも可能です。
20年使って、一度だけ壊れました。
このマイクとの付き合いは古く、かれこれ20年になります。
これまでに一度だけ壊れました。接点不良のようなノイズが出るようになり、修理をお願いしたところ見事に直って返ってきました。壊れたのは20年で一度だけです。すごい。素晴らしい。
持っていて損のない万能マイク、AKG C480B Combo (w/CK61)。
ドラムを綺麗に録りたい人には特にお勧めです。
ミキシングを中心にレコーディングからマスタリングまで手がけるマルチクリエイター。一般社団法人日本歌ってみたMIX師協会代表理事、合同会社SoundWorksK Marketing代表社員。2021年よりYouTubeチャンネル「SoundWorksKミキシング講座」を展開中。過去には音響機器メーカーTASCAM、音楽SNSサービスnanaのマーケティングに従事。
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