Waves CLA Vocals 初心者向け使い方解説 ボーカルの音作りを学ぶのにピッタリのプラグイン[難しさ:やさしい vol.088]

ボーカルの音作りでは色々なプラグインを使用することになりますが、最初のうちはどれをどう使ったら良いのかわからないことも多いはず。そんな初心者の方にピッタリのボーカル用プラグインがWaves CLA Vocals。ボーカルの音作りに必要なプラグインが一つのプラグインにまとまっていて、さらにはパラメーターも設定済。スライダーを上下させるだけで音作りができるので、初心者に最適です。

とはいうものの使い方がわからない方も多いと思いますので、初心者向けの使い方解説を作ってみました。

動画とあわせてご覧ください。

最初にお見せしますが、僕のお勧めセッティングはこちらです。

CLA Vocalsの概要

CLA Vocalsは有名プラグインメーカーWavesのシグネイチャーシリーズにラインナップされるボーカル用のプラグイン。シグネーチャーシリーズとは有名なエンジニアさんのセッティングを収めたシリーズ。著名エンジニアさんの音が手軽に作れる人気のシリーズで、いくつかのシリーズがあります。

JJP(Jack Joseph Puig)シリーズEK(Eddie Kramer)シリーズが有名です。

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この記事で紹介しているCLA VocalsはCLA(Chris Lord Alge)シグネイチャーシリーズに含まれているボーカル専用プラグインです。シグネイチャーバンドルを購入しても入手可能ですが、単品でも販売されています。

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CLA Vocalsの構造を説明していきましょう。

まずは大きく分けて、入出力の音量を調整するセクション(緑枠)と、音作りをするセクション(オレンジ枠)の2つに分かれています。

音作りをするセクションはさらに上下2段に分かれており、上段は音質の選択、下段のフェーダーでかかり具合を調整します。フェーダーを+方向にすれば強く(ブースト方向)、-方向にすれば弱く(カット方向)に変化します。

音作りセクションはBASS/TRABLE/COMPRESS/REVERB/DELAY/PITCHの6つのセクションからなります。それぞれ以下のエフェクトになっています。

  • BASS/TRABLE:イコライザー
  • COMPRESS:コンプレッサー
  • REVERB:リバーブ
  • DELAY:ディレイ
  • PITCH:コーラス(ピッチ・モジュレーション)

フェーダーは「0」の位置、プラグインを立ち上げた状態ですでに良い感じのエフェクトがかかるようになっています。「0」のセッティングがChris Lord Alge氏のセッティングとされていますので、立ち上げただけでも音が変わるのがわかるはずです。

CLA Vocals内のREVERB/DELAY/PITCHセクションを有効にする場合は、他のリバーブやディレイと重複しないように注意しましょう。まずは他の空間系エフェクトをオフにして使用してください。意図せず空間系エフェクトを2段かけすることになると、音がうまく前に出てこなくなります。

また、CLA Vocalsはリバーブやディレイといった空間系エフェクトを含むため、ステレオプラグインです。モノラル録音のボーカル素材に使用した場合、出力はステレオになります。

まずはここから!お勧めの使い方とセッティング

Step1 CLA Vocalsの起動と他のプラグインのチェック

まずはボーカルトラックにCLA Vocalsを挿入して立ち上げましょう。この時に、ボーカルトラックに他のプラグインがかかっていない方が良いので、リバーブやディレイ、イコライザーやコンプレッサー等のCLA Vocals以外のプラグインがオフになっているか確認しましょう。CLA Vocalsだけがボーカルトラックにかかっている状態にします

プラグインスロットのどこに挿入しても構いませんが、迷う場合は真ん中に挿入すると良いでしょう。真ん中のスロットに挿入すれば、後からプラグインを追加したくなった場合に便利です。

Step2 入力レベルの最適化

続いては入力レベルを最適化します。

ボーカルを再生しながら「INPUT SENS(Input Sensitivity:入力感度)」のフェーダーを調整し、最も大きい音の時にフェーダー上部のLED(Sensitivity LED)が黄色に点灯するくらいに設定します。この時、メーター上部の赤いLED(Clip LED)にも注目してください。最大音量時にClip LEDが点灯せず、Sensitivity LEDが黄色という位置を探しましょう。

ちなみにSensitivity LEDについて、マニュアルには以下のように記述されています。緑=良い!、黄色=バッチリ!です。

LED off (too low), Green (good), Yellow (optimal), Red (very hot)

CLA Vocalsマニュアルより

Step3 空間エフェクトの無効化とEQとコンプの設定

続いてはEQ/コンプの設定をしましょう。実際のイコライザー、コンプレッサーは複雑なパラメーターがありますが、CLA Vocalsはフェーダーを上下させるだけなので、誰でも設定できます。音質変化を感じ取りましょう。

音質の変化を感じ取るために有効な手法が、空間系エフェクトの無効化です。「REVERB」「DELAY」「PITCH」のスイッチ(Color)を何回か押して、消灯させましょう。これで空間系エフェクトがオフになり、イコライザーとコンプレッサーの音に集中できます。

ではイコライザーを設定します。

まずは「BASS」のフェーダーをMAXにした状態で、「BASS Color(スイッチ)」を押して音質変化を聞いてみてください。最も好みに近い方向性のColorを選びましょう。

Colorを決定できたら、フェーダーを下げて違和感のないところで止めましょう。強めにかけて方向性を決めて、弱めて最適値を探すという方法です。

「TREBLE」と「COMPRESS」も同様に良いところを探しましょう。お勧めは、「SUB」「ROOF」「PUSH」にして、それぞれ+3〜+5くらいの値がオススメです。

いかがでしょうか?

フェーダーを操作するだけでボーカルの音質がかなり変化するので、音作りの楽しさが理解できると思います。この時に、裏側でどのような処理が行われているのか考えながら使うと良いでしょう。例えば「TREBLE」では、BITE/TOP/ROOFで異なる高域EQがかかっています。詳細は不明ですが、BITEは6kHz付近のピーキングEQ、TOPは8kHz付近のピーキングEQ、ROOFは8kHz程度のシェルビングEQではないかと思います。

「COMPRESS(コンプレッサー)」については、PUSH>SPANK>WALLの順に強くなるイメージです。おそらくレシオやアタック・リリースの設定が強くなっていくと思われます。WALLまで行くとかなりアグレッシブな音なので、通常はPUSHで良さそうです。PUSHはその名の通り押し出し感のあるセッティングです。

参考までに、PUSH/SPANK/WALLそれぞれの設定にサイン波を同じ条件で入力したのが以下の画像です。実はWALLが意外と圧縮されておらず、SPANKが最も特徴的な設定であることがわかります。最も「コンプ臭い」設定がSPANK、アタックを抑え込む設定がWALLということになるでしょう。

CLA Vocalsで「良いと思える音」のイメージを掴み、CLA Vocalsを使わずに音作りできるようにトレーニングしていくと良いでしょう。

なお、個人的にはCLA Vocalsの空間系エフェクトは使わなくても良いと思っています。イコライザーとコンプレッサーがわかりやすく秀逸なので、まずはEQ/コンプだけで使ってみてはいかがでしょうか。

Step4 出力レベルと入力レベルの再調整

最後に、改めて音量を調整しましょう。

「OUTPUT」のメーターを確認し、LED(Clip LED)が赤く点灯しているようなら、「INPUT SENS」を下げましょう。「OUTPUT」を下げても良いのですが、個人的にはエフェクト内のブーストによってレベルオーバーした場合、最終段のフェーダーを下げても歪んだままということがあるので、入力を下げる方が正しいと考えています。

出力のClip LEDが赤く点灯しない場合は、そのままでOKです。

ピッチモジュレーションを使ってみよう!

空間系エフェクトについてはセンドリターン形式での使用方法を覚えたほうが将来的に有効なので、CLA Vocalsではオフのままにして、楽曲全体でリバーブやディレイをかける方が良いと思います。

もし使用する場合は、EQ/コンプ同様に強めにかけて「Color」でお好みの音色を選び、フェーダーを下げて最適値を探せばOKです。

唯一の注意点は、「DELAY」に関しては曲のテンポにあわせたディレイがかかりますので、プロジェクトで楽曲のテンポを設定した状態で使用しましょう。「SLAP」は16分音符、「EIGHT」は8分音符、「QUATER」は4分音符のディレイがかかります。

空間系エフェクトでお勧めは、「PITCH(ピッチモジュレーション)」エフェクトです。このエフェクトを使うと、最近風の左右に広がりのあるボーカルサウンドを作ることができます

使い方は他のエフェクト同様ですが、お勧めは「SPREADER」にして、フェーダーを少し下げたセッティングです。かかりが強すぎるとわざとらしくなりますが、マイナス方向に設定することで隠し味的に使うことができ、ほどよく広がった「音像の大きい」ボーカルを作ることができます。

さらに進んだ使い方

ディエッサーと組み合わせる

CLA Vocalsに唯一足りないボーカルエフェクトがあるとすればディエッサーでしょう。実際に「TREBLE」をブースト方向に使うと歯擦音が気になる場合が多々あります。この場合は、CLA Vocals後段にディエッサーを挿入し、歯擦音を抑え込みましょう。Melodyneを使っている場合は、CLA Vocalsに入力される前の段階で歯擦音を小さくすることもできますね。

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ボーカル音量を整えてからCLA Vocalsに入れる

CLA Vocalsのコンプレッサーはかかりが強めで、入力音量が激しく上下するとかかり具合に差が出てきます。入力される音量が均一化されていると気持ちよくかかりますので、CLA Vocals前段にVocal Riderを入れて音量を均一化するとさらに気持ちよくコンプレッションされるようになります。もちろん、Melodyneで音量を整えてもOKです。

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部屋鳴りをカットしてからCLA Vocalsに入力する

使っていくとわかりますが、CLA Vocalsはブースト方向が得意であり、何かをカットすることには向いていません。従って、部屋鳴りやノイズなどはカットしてからCLA Vocalsに入力した方が良い音に仕上がります。CLA Vocals前段にダイナミックEQなどを挿入し、部屋なりをカットしてみると良いでしょう。


と、上級編の使い方ができる人にはもはやCLA Vocalsの使い方説明は不要でしょうから(苦笑)、ひとつの便利プラグインとして使ってみると良いと思います。

個人的に上級者になっても使えるのは「COMPRESS」と「PITCH」の2セクション。この2つは他のプラグインでできそうでできない音作りが可能です。COMPRESS/PITCHのどちらかだけを使うプラグインとしても有用ではないかなと思います。本記事の使い方からスタートして、ご自身の使い方を見つけてみてください。

CLA Vocals manual

https://www.waves.com/1lib/pdf/plugins/cla-vocals.pdf