マイクってどこに立てるの?アコギ(アコースティックギター)の録り方 [vol.034 難しさ:ふつう] レコーディングの方法

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アコースティックギターのレコーディング。

コンデンサーマイクを買ってはみたものの、マイクを立ててみるとなかなかうまく録れないものです。アコースティックギターはマイクを立てる場所が数センチ変わるだけで、向きが30度変わるだけで大きく音が変わってしまう。アコギ録音は難しいのです。

この記事ではアコギ録音のコツとも言うべきポイントを紹介していきます。以下の動画をベースにした記事ですので、ぜひ動画とあわせてお楽しみください。

まずはマイク1本で。アコギの録り方

アコースティックギター録音の方法は大きく分けてふたつ。マイクの本数によって分けることができます。

一言でまとめると、まずはマイク1本で録音してみましょう

シングルマイク録音

マイク1本で録音する方法です。

ギターの音像(音のサイズ)や情報量は少ない反面、扱いやすいという特徴があります。情報量が少ないというとデメリットに聞こえますが、実は多くの場合はメリットになります。パート数が多い楽曲において生のアコギを入れるとミキシングが非常に難しいのですが、シングルマイクであれば扱いやすいでしょう。パート数が多い場合は情報量が仇となることも多いのです。

シングルマイク
良い点:音が扱いやすい(ミキシングしやすい)、情報量が少ない(パート数が多い場合は十分な情報量)
悪い点:リアリティに欠ける、音像(音のサイズ)を大きくしにくい

シングルマイクでのアコギ録音

マルチマイク録音(含むステレオ録音)

マイクの本数が2本以上の場合がマルチマイク録音です。マイク1本に対しひとつのトラックを用意して、複数のトラックを同時に録音します。情報量が多くリアリティのあるギターが録音できるため、弾き語りやパート数が少なくギターが目立つ場合にお勧めです。

マイク2本をセットとして扱うステレオ録音もマルチマイクの1種と捉えられます。

音が複数になるため扱いが難しく、特にミキシングにノウハウを必要とします。ノウハウに乏しいと混ぜれば混ぜるほど音が悪くなるような現象が起こります。

マルチマイク
良い点:リアリティがある、大きい音像(音のサイズ)が作れる・・・寂しくない
悪い点:ミキシングが難しい(マイク同士の干渉を考慮する知識とノウハウが必要)

マルチマイク(2本)でのアコギ録音
マルチマイク(ステレオ)の場合

実際はシングルマイク+マルチマイク&全部使わない

レコーディングの写真を見ると複数のマイクが立っていることが多く、マルチマイクのように見えます。が、実際はすべての音を使っていないことが多いです。色々なマイクで録音しておいて、ミキシング時に必要な音だけ使うという手法です。

また、考え方としてシングルマイク+マルチマイクという考え方もよく使います。基本的にはシングルマイクを主体として録音し、ミキシング時に必要に応じてマルチマイク側のの音をプラスするような使い方です。

マイクを立てる場所

いい音がする場所を探す方法

マイクを立てる場所を考える時には、どこから音が出ているのかを考えましょう。ギターに限らず、「音が良いと感じる場所」にマイクを立てれば良い音で録れます。

アコースティックギターの場合、サウンドホールと呼ばれる真ん中の穴が最も大きな音が出るようにできています。しかし、サウンドホール以外のボディ全体でも音が出ていますし、ボディの中でも部分的に音が大きい場所があります。また、当然ですが弦そのものも音を出しています。

悪いギター(鳴りが悪いギター)というのは弦の音しかしません。

これらの知識を踏まえて、ギターの音を片耳で聞いてみましょう。両耳で聞くと正確な場所を探しにくいので、片耳で聞きましょう。自分の演奏を録音する場合、誰かに鳴らしてもらうか、ジャラーンと鳴らした状態でギターを耳元に持ってきて音の良い場所を探してみましょう。

片耳で聞きながらマイクを立てる場所を探します

マイクを立てる場所のセオリー

基本的には自分の耳で探すのが良いですが、セオリーはあります。以下の地点からスタートして、音を聞きながら調整しましょう。

スタート地点の目安
ネックジョイント部とサウンドホールの中心点から20cm程度離れた位置で、1/2弦のあたりを狙う

ワンポイントノウハウ
・距離は20cm程度から。遠くになりすぎると低音が弱くなりすぎます。
・サウンドホール中央は、低音が強くなりすぎます。サウンドホールから遠ざけることで低音を弱くできます。
・狙う弦によって録れる音が変わります。高音弦を狙うときらびやかな音になります。
・マイクの首を使って向きを調整します。

マイクを立てる場所の目安

マイクを立てる場所の微調整

マイクを立てたらマイクの音をヘッドホンで聞きながらマイクを動かして微調整してみましょう。

数センチ単位で移動したり、向きを買えてみたりすると、音が変化するのがわかるはずです。ご自身のギターを録音する場合も、「弾く→聞く→マイク動かす」を繰り返して、「マイクを通した状態でいい音と感じる場所」にマイク位置を調整します。

先程は自分の耳で聞いていい音がする位置を探しましたが、今度はマイクでいい音がする位置に調整します。最初からマイクでやれば良いのかと言うと、マイクだけで場所を探すとかなり時間がかかります。なぜか「自分の耳→マイク経由」の順で探したほうが良い場所が早く見つかります。

ここで見つけた最もいい音でマイク録音できる場所を僕はスイートスポットと呼んでいます。
直径3cmくらいの球体のようなエリアで非常に狭い範囲です。しかし、同じギターの場合、スイートスポットはあまり変化しませんので、一度見つけてしまえば2回目以降は素早く見つけられるでしょう。

マイクの音が聞こえる状態はインプットモニター状態と言います。
録音はしていないものの、入力されている音が聞こえる状態です。

録音レベルとトラック分け

録音の際の録音レベル設定はボーカルなどと同様の考え方でOKです。改めてまとめてみると以下のようになります。

  • 歪まない範囲でできる限り大きめを狙う
  • 最大音量時にメーターが8割くらい振れるように入力レベルを調整する

注意すべきは演奏法による音量の違い。アコギで頻発するのはストローク演奏とアルペジオ演奏による音量の違いです。

ストロークとアルペジオでは、同じセッティングで録音するには音量差がありすぎるのです。可能であれば別トラック、別テイクとして録音し、それぞれに最適なレベル設定をしましょう。

ストロークはかき鳴らすワイルドさ、シャープなリズムが大事。アルペジオは弦1本1本の綺麗な響きと落ち着いた雰囲気が大事。

音量は圧倒的にストロークの方が大きいので、入力レベルはストロークに合わせることになります。すると、ストロークに合わせたレベル設定ではアルペジオに対して低すぎるレベル設定になってしまいます。

しかし、ストロークよりもアルペジオの方が音に綺麗さが必要。つまり、アルペジオこそギリギリのレベル設定を突き詰める必要があるのです。ストロークに合わせた設定でアルペジオを録音すると、アルペジオの良さを引き出せない可能性がある、ということです。

CH1はアルペジオ用、CH2はストローク用のレベル設定

マイクを増やすとしたら

マイク1本での録音に慣れてきたらマイクを足してみましょう。まずは1本足すとしたら、、、お勧めの場所をご紹介します。

特に弾き語りの場合、シングルマイク録音ではボーカルと定位(左右位置=PAN)がかぶってしまい、お互いに邪魔をしてしまいます。このような場合はマイクを1本足してPANを左右に広げ、ボーカルの居場所を開けてあげましょう。

パターン1 ステレオ化する

同じマイクを2本用意して、ひとつの音源を2つのマイクで録音するのがステレオ録音です。様々なステレオ録音がありますが、ギターの場合は変則的なA-B方式のステレオ録音を使ってみましょう。

  • マイク2本を5cm程度離し、それぞれ45度の角度をつける
  • 2本で1本のマイクとして考え、マイクを設置する

この方法だとステレオではあるものの左右の幅は狭い音源となるため、ひとつの楽器として聞こえます。一体感があるので弾き語りの場合にはお勧めの方法です。

注意点はマイクの間隔。間隔を開けすぎると真ん中の音が弱くなりすぎる中抜け現象が起こります。また、アコギの場合はスイートスポット(音がいい場所)が小さくピンポイントなので、2本のマイクの間隔を広げすぎると一番いい音からマイクが離れてしまいます。

2本のマイクを1本のマイクとして考える

パターン2 ブリッジ近辺の音を録音する

マイクを2本という意味ではステレオなのですが、2本のマイクで1本として扱うのがステレオ録音。パターン2の方法は2本をそれぞれ独立したマイクとして考えます。

1本はシングルマイク時同様にスイートスポットに設置してください。

2本目がパターン1と異なります。ブリッジ付近を狙ってポイントを探して設置してみてください。

2本目をブリッジ付近に追加

ギターにも依りますが、ブリッジ付近からいい音が出ているギターは比較的多くあります。スイートスポットに次いでいい音はブリッジ付近から出ていることが多く、スイートスポットよりもやや硬めのまとまりのある音がします。

これら2本の音を、やや広めのPAN(L50/R50くらい)に設定して再生します。ギターを目の前で演奏されているような音が聞こえてきませんか?

尚、パターン2の場合は2本のマイクは異なるマイクでも成立します。同じマイクを2本揃えられない場合にも使える技なので、汎用性が高いですね。

動画や記事で出てくるマイクやグッズ

K&M 23550

ステレオバーと呼ばれる1つのマイクスタンドに2本のマイクをつけるグッズ。マイクの間隔調整も可能で、ステレオ録音の必需品。

リフレクションフィルター

自宅録音の革命的アイテム。反射音を減らしてクリアな音に。アコギには効果てきめんです。

SENNHEISER MK 4

非常にバランスのとれたラージダイヤフラムコンデンサーマイク。ゲインが高く、際立った癖がないため汎用性が高く扱いやすいマイク。

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SENNHEISER MK 8

MK 4の上位機種にあたるマイク。指向性切り替えがあるため無指向性、双指向性としても使用可能。オフマイクに適している。

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SENNHEISER MKS 4

MK 4/ MK 8用サスペンション。(マイクを買ってもホルダーは付属するがサスペンションは別売り)実はNEUMANN U 87のサスペンションにも使える。

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AKG C480B Comb ULS 61

脚色の無い、原音忠実なサウンドを出力するスモールダイヤフラムマイク。ダイヤフラムの小ささを活かしたセッテイングが可能。

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AKG
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