エンジンオーバーホール SW20 5型 3S-GE VVTi vol.2 作業の方法 腰上(ヘッド)分解
前回の作業の続きです。
エンジンオーバーホール SW20 5型 3S-GE VVTi vol.1 作業の方法
補機類・パーツ類の取り外し
前回ヘッドカバーを開けてカムシャフトが外れるところまでは進みました。
今回はヘッドを分解していきますが、先立ってエンジンについているものをすべて外していきます。とにかく外します。
ここから先の作業は作業性向上のためエンジンスタンドに装着して行うことに。エンジンクレーンで再び吊り上げ、エンジンスタンドに装着します。
エンジンスタンドへのエンジン取り付け方法はずっと謎でしたが、結論的にはかなり適当で、ミッションとエンジンを締結しているボルト穴をいくつか使って取り付けます。
エンジンスタンドから4本のアームが出ていますが、合う場所がなくて3本だけで取り付けました。数百キロのエンジンを片持ちする構造なので精神衛生上良くないと感じます。。。
装着したらとにかくすべてのホース、パイプ、ハーネス等々外していきます。全部です。
この写真ではウォーターアウトレット、ウォーターアウトレットハウジング、エンジンハンガー、ベンチレーションチューブを外します。
再利用不可部品メモ
16341 ウォータアウトレット ガスケット(16341-88460)
16331P ウォータアウトレット Oリング(90301-40005)
12255 ベンチレーション ガスケット(12255-88560)
ベンチレーションOリング(96741-24021)
続いてはウォーターインレット、ウォーターバイパスパイプNo.1などを取り外し。
再利用不可部品
16346 サーモスタット ガスケット
16268F ウォータバイパスパイプ Oリング
ウォーターインレットを外したら中が何やら不吉な状態にw
ハーネス類も続々と取り外し。
ハーネスの長さはつくようにしかつかないのですが、近いコネクターはわからなくなりそうなのでマジック等でマーキングしました。何のハーネスなのかは全くわかりませんw
こちらは吸気側。
サージタンクは外れていますが、インテークマニホールド部も分解。黒いパーツはインテークマニホールドインシュレーター。これも外します。インシュレーター下のアース、ハーネス類も外します。ついでにいうとインテークマニホールド本体も外して大丈夫です。
続いて燃料系。
デリバリーパイプ/W フューエルチューブサブASSYをボルト3本で外します。インジェクター4つがASSYにくっついてます。インジェクターとエンジンヘッドは締結されておらず、デリバリーパイプのボルトで押さえているだけです。驚き。
デリバリーパイプ脇のコネクターも取り外し。この辺りからオイル漏れがあるようで、かなり汚れていましたのでパーツクリーナーで洗浄してマーキングしました。
タイミングベルト側(フロント側)もガシガシ外します。ウォーターポンプ、アイドラー等のベルト周りも外しておきます。
16100 エンジンウォータポンプASSY(16100-79226)
13502 タイミングベルト アイドラSUB-ASSY NO.2(13503-88560)
13505 タイミングベルト アイドラSUB-ASSY NO.1(13505-88560)
13540 チェーン テンショナASSY NO.1(13540-88561)
ウォーターポンプを外すとクランクシャフトポジションセンサー?の配線が共締めになっています。こういうの、もとに戻せる気がしませんねww
エンジンスタンドに装着すると作業が楽です。垂直に固定したいのですが、どうにも傾いてしまう、、、(;・∀・)
ヘッド分解
周辺機器が外れたらヘッド分解に入ります。
まずは忘れていたプラグの取り外し。1番と4番が妙に固かったです。
2番、3番はオイルでベタベタでした。最初からなのか、ヘッドカバーを開けてからこうなったのかは不明w
続いてはヘッドボルトの取り外しに入ります。
ヘッドボルトは塑性域締め付け法で締め付けられているのでかなり固いです。ボルト自体はカムシャフトの下に隠れています。
ヘッドボルトは順番に均等に少しずつ緩めます。
ヘッドボルトはダブルヘキサゴン10mmを使用します。
ちなみにアストロを始め格安工具各社では違う商品名で、トリプルスクエアという名前。ダブルヘキサゴン=2×6=12:トリプルスクエア=3×4=12で同じ意味だそうです。商標の問題でしょうかw
ちなみに、アストロのトリプルスクエア10mmを購入したところサイズが合わず、トリプルスクエア12mmでピッタリでした。ヘッドボルトの仕様が変わったのか、オーバーホール時に変更したのか、アストロのトリプルスクエアの呼び方が違うのかは謎です。
外したボルトは番号を付番して管理することにしました。たぶん混ざってしまっても大丈夫なんでしょうが、混ざらないに越したことはないかと。塑性域締め付け法なので、ボルトがくびれている場合は交換が必要だそうです。
11101A シリンダヘッドセット ボルト(90910-02094)
なお、シリンダヘッドボルトを外すとワッシャーがヘッドに残りますので忘れずに回収します。かなり奥にあるので、マグネットツール等が必要です。
続いてバルブリフタを取り外します。
バルブに乗っているだけなので、素手で引っ張れば外れます。外れにくい場合はパーツクリーナーを吹いてオイルを飛ばすと外れやすくなります。
バルブリフタの裏側にバルブアジャスティングシムがオイルの表面張力でくっついていますので、なくさないように管理します。
バルブリフタ他バルブ関係のパーツは混ざってしまうと調整が相当面倒らしいので、どこのバルブについていたかわかるように管理します。
100均で見つけたパーツケース(ネジケース?)が最高にピッタリだったので、バルブに番号を付番してそれぞれの部屋に入れました。後述のバルブスプリングリテーナーロック(コッタ)、バルブスプリングリテーナーも同じ部屋に入りますのでとても便利です。
バルブの取り外し
バルブリフタを外せばヘッドをひっくり返しても落ちるものがなくなりますので、気兼ねなくヘッドを移動できます。バルブを取り外すために作業性の良い場所に移動しました。
ちなみに写真ではインマニを外し忘れているのでインマニがまだついています。ヘッドを外してから外そうとすると、ヘッドが動いてしまって外しにくいので、ヘッドボルトを外す前に全部はずしたほうが良いです。
ヘッドを外したので燃焼室の様子を見てみます。
ピストンって、大きいんですよね。それが一番の驚きでした。燃焼室はこころなしか汚れがあるように見えます。
ヘッド側。
吸気側バルブの方が大きいというのは初めて知りました。そんなに状態は悪くないように思いますが、そもそも初めてバラしたエンジンなので判断つきません。苦笑
先程書いたヘッドボルトのワッシャーはこれです。外し忘れてヘッドを下ろしてから救出しました。
さてバルブを外します。
バルブスプリングの反力がかかっていますので、バルブスプリングコンプレッサーでバルブスプリングを縮めます。すると、バルブスプリングリテーナーロック(コッタ)が自然と外れてきますので回収します。
バルブスプリングリテーナーロック(コッタ)は2枚セットでバルブについているとても小さいパーツです。バルブスプリングを縮めた状態でマグネットピックアップツールを使って回収すると良いと思います。
アストロのバルブスプリングコンプレッサーを使用しましたが、価格は安いもののバッチリ外せました。ロック式ではないため、毎回ネジを回すのが大変なくらいで、その他は特に問題ありませんでした。
こちらが外れた吸気側バルブ。パーツクリーナーで簡易清掃して番号管理します。
こちらが排気側。焼けてます。
この辺で雨が降ってきたので本日はここまで!
次回は腰下分解に進みたいと思います。
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ミキシングを中心にレコーディングからマスタリングまで手がけるマルチクリエイター。一般社団法人日本歌ってみたMIX師協会代表理事、合同会社SoundWorksK Marketing代表社員。2021年よりYouTubeチャンネル「SoundWorksKミキシング講座」を展開中。過去には音響機器メーカーTASCAM、音楽SNSサービスnanaのマーケティングに従事。