エンジンオーバーホール SW20 5型 3S-GE VVTi vol.4 作業の方法 腰下分解
腰上を分解してから1ヶ月以上。やっと腰下分解に入ります。錆びてくる前に仕上げたいのですが、忙しくてなかなか進みません。これがプライベーターというものです。笑
目次
オイルパンの分解
オイルを抜く
腰下はまだオイルが入っていますので、まずはオイルを抜きます。サビ防止という観点では無闇矢鱈とオイルを抜いたり拭いたりしないほうがいいようで、これまでオイルを抜かずに放置していました。
ちなみにエンジンスタンドにこのようについています。ピストンが汚れているのは当然ですが、周囲の冷却水等の通り道もかなり汚れるものなんだなと思いました。
ドレンボルトを外してオイルを抜きますが、ドレンから抜いただけだと全部のオイルが抜けません。かと言って抜く方法もないのでエンジンスタンドを活用してひっくり返します。ピストン周囲のいろいろな穴からいろいろな液体が出てきますので、大きなオイル受けがないと大変です。足元がオイルと冷却水の混合液で大変なことになります。
オイルパンNo.2を外す
続いてはオイルパンを外します。一般的にオイルパンと呼んでいるのは実はオイルパンNo.2というものです。オイルパンはパッキンで強固に固定されているため、ボルトを外してこじったくらいでは全然外れません。
パッキンを切りながら分離していくのですが、オイルパンカッターを使わないとかなり厳しいです。オイルパンカッターは、「ハンマーで叩ける」こと、「打ち込んだまま横に移動できる」ことが特徴です。マイナスドライバーやスクレーパーでできないことはないでしょうが、そんなに高くないので買ったほうが良いと思います。使っているのはアストロの安いものですが、十分最後まで使えました。
ハンマーで横移動がうまくいくとスムーズに進みます。結構うるさい作業になるので、夜は出来ないかなとw
全周のパッキンが切れたら、マイナスドライバー等を差し込んでこじるとパカッと割れます。
オイルパンNo.1を外す
続いて大きい方のオイルパンを外します。まずは全周のボルトを外しますが、ストレーナー周辺、オイルパン内部のボルトは5mmの六角です。そこそこのトルクなので、普通の六角だとパワー不足。メガネレンチで六角を延長して回しました。舐めると面倒なので、ソケットの六角を先に調達しておいた方が安心です。ストレーナー等の関係でラチェットを入れにくいので、ロングソケットの方が便利でしょう。
クラッチ側にも2本5mmの六角ボルトがあります。レギュレーターの脇にも1本六角がいます。舐めないように祈って回しました。
ボルトを外したら、オイルパンNo.2と同じようにオイルパンカッターを使ってパッキンを切り、最後はドライバー等でこじって分離します。
分離するとオイルパンバッフルプレートとオイルストレーナを取り外すことができます。これらを留めているボルトは低トルクなのですぐ外れます。すべて外すとクランクシャフトとご対面です。
オイルポンプの分解
続いてはオイルポンプを外します。今バラしている2号エンジンではなく、1号エンジン(稼働中)はオイルポンプ付近から微妙に漏れていて、おそらくパッキンだと思っています。タイミングベルト交換時に交換に挑戦して断念しました。
こうしてエンジンを下ろしてオイルポンプをばらしていくと、車上では到底無理だということがわかります(笑)
ちなみにオイルポンプ本体(オイルポンプボデー)はオレンジ色の部分だけで、周りはオイルポンプケースです。ケースはとにかくたくさんのボルト(緑)で留まっていますので、全部はずします。この段階ではオイルポンプボデーをケースから分離する必要はないので、オレンジのボルトは外さなくても大丈夫です。
その他外し忘れていたアイドラ(タイミングベルトアイドラNo.2)、クランクシャフトタイミングプーリー、タイミングチェーンカバープレート等を外します。
ボルトを外せばカポッと外れます。
クランクシャフトの分解
ついに佳境へ。
クランクシャフトに着手する前にエンジンリヤオイルシールリテーナーを外しておきます。エンジンスタンドとの隙間で作業しにくいですが、トルクはかかっていません。
続いてコンロッドキャップを外します。一見特殊工具に見えますが、12角の一般的なソケットで外れます。(普通のソケット、よく考えると12角のものが多いことに気づきました)このナットは塑性域締め付けなので、かなりのトルクです。エンジンスタンド固定とスピンナハンドルでなんとか回った印象です。
コンロッドキャップにはそれぞれ刻印があります。一番ピストンから3,3,2,3となっていました。
コンロッドキャップの内側にはベアリングが入っています。円に沿って配置されている薄い鉄の板です。上下に分割されており、2枚で1セットです。ベアリングというとボールベアリングを想像してしまいますが、これもベアリングなんだそうです。とりあえずコンロッドキャップとベアリングの組み合わせが変わると面倒な予感がしますので、そのままつけておきます。
続いてはクランクシャフトベアリングキャップを外します。例によって緩める順番が決まっています。1箇所を急に緩めると歪むということです。
クランクシャフトベアリングキャップの3番は、両側にスラストワッシャーが入っている関係で外れにくいです。ボルトの下あたりにくぼみがあるので、ドライバー等をひっかけてテコの原理で上にガポっと外します。いずれにせよ構造的にはピッタリと乗っかっているだけです。オイルが入っているため密着している感じです。
クランクシャフトベアリングキャップを外せばクランクシャフトが外れます。相当重いです。落とさないように注意しましょう。
クランクシャフトを外すとコンロッド、ピストンが見えてきます。ピストンは裏側からプラハン等衝撃の弱いものでコンコン叩くと動きますので、叩いて抜きます。エンジンスタンドに載っている場合はピストンを落とさないよう注意です。
すべてのピストンが外れました。コンロッドキャップとコンロッドにはそれぞれ刻印があり、組み合わせは間違えないようになっているようです。右が1番(フロント)、左が4番(リヤ)です。
部品の清掃
腰下分解も済みましたので、部品の清掃に移ります。
オイルパンの清掃
オイルパンは主に残ったパッキンを取ります。スクレーパーで切りながら除去する感じです。かなり手間がかかります。特に溝の中の残りパッキンは難易度が高く、一番役に立ったのは鉛筆でした。傷がつかず、溝をほじれる道具が必要です。
オイルパンNo.2は外側に傷や塗装剥がれがあるので、装着前に塗装したいと思います。
オイルポンプの分解
オイルポンプもメタルクリーンに漬けるので、効果を最大にすべく分解します。まずはオイルポンプカバーとオイルポンプボデーを分離しますが、プーリーを外す必要があります。回ってしまうので適当なソケットで廻り止めをしてプーリーを外します。
あとはボルト2本を外せばオイルポンプボデーが外せます。
オイルポンプについているオイルシール2箇所も交換するので外します。クランクシャフトオイルシールはかなり外れにくいです。それもそのはず、オイルシールというのでゴムやプラスチックを想像しますが、本体は鉄で出来ています。ドリルで穴を開けて適当なタッピングボルトを打ち込むとペンチでつかめるようになるので、外しやすいです。
コンロッドベアリングの確認
コンロッドもメタルクリーン行きなので、その前にベアリングを外してしまいます。
ベアリングの外側の窪みにドライバー等を入れて持ち上げると外れます。
ベアリングはクランクケースとクランクシャフトの刻印によってどのベアリングを選択するかが決まっています。(整備書に載っています)このエンジンは4発のうち3発は同じ構成でした。といってもそれぞれ削れ具合が違うと思うので、混同しないようにマーキングして保管しておきます。
メタルクリーン
最後は定番のメタルクリーンへ!
さすがにエンジンブロックは入らないので、それ以外をメタルクリーン漬けにしました。オイルレギュレータを外すのを忘れないように注意です。
次回は計測しながら仮組みをしていきたいと思います。
ミキシングを中心にレコーディングからマスタリングまで手がけるマルチクリエイター。一般社団法人日本歌ってみたMIX師協会代表理事、合同会社SoundWorksK Marketing代表社員。2021年よりYouTubeチャンネル「SoundWorksKミキシング講座」を展開中。過去には音響機器メーカーTASCAM、音楽SNSサービスnanaのマーケティングに従事。
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