SW20 MR2 クラッチ・ミッション交換・センター出し の方法

※ 当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

前回まででミッションオーバーホールが完了したので、組み上がったミッションに交換していきます。

SW20 MR2 NA S54型ミッションの交換方法

SW20はミッドシップでFF同様の横置きトランスアクスル(エンジンとミッションが一体)につき、FR車のような細長いミッションではなく、横にギュッと詰まった形をしています。

また、ミッドシップにつきエンジン及びトランスアクスル後方にはトランクがあります。ショップ等で車を高く上げることができるのであれば当然下抜き(車の下から摘出)になりますが、自宅作業の場合は車を上に上げるという選択肢に限界があります。したがって、トランスアクスルをエンジンから分離した際にどうやって抜くか(摘出するか)が肝になります。

また、エンジンと分離せずエンジンごと抜くという方法もあります。

結論的には、エンジンからトランスアクスルを分離し、トランスアクスルのみ下から抜きました。トランスアクスルもそこそこ大きいので、下から抜くことができる高さを確保できるかが懸念事項でしたが、ガレージジャッキとリジッドラックでなんとか高さは確保できました

ジャッキは500mm以上ジャッキアップできるタイプでないと取り回しが大変だと思います。最高位に注意しましょう。

上からの作業

作業場所の確保とスターターモーターの取り外し

まずはバッテリーを外して作業開始。車をジャッキアップする前に上側からの作業を終わらせてしまいます。

具体的にはトランスアクスル上側のボルト及び左側エンジンマウントには上からのアクセスになります。エンジンルームにアクセスするためにトランクを外してしまうと楽です。

タワーバー、エアクリ一式を外します。エアクリーナーのパイプはスロットルボデーから分離すればOKです。エアクリ下側にエアフロのコネクターがあるのでこれも外しておきます。

上から外すもの
・タワーバー
・エアクリ一式
・左エンジンマウント一式
・スターターモーター固定ボルト2本
・トランスアクスルxエンジン締結ボルト3本
・クラッチレリーズシリンダー固定ボルト2本

いかに工具が入るスペースを確保するか、作業性を向上するかが肝なので、邪魔だと思ったものは外したほうが楽です。

タワーバー、エアクリ一式を取り外し

エアクリが外れたら左のエンジンマウント(SW20の場合はミッションマウントとも言えますが)を外します。下の写真で緑枠のところがマウントです。マウント本体とブラケットという構造になっているので、まずはエアクリのステー周り、ラテラルコントロールロッド周りを取り外し、マウントのボルトを抜きます。かなり工具が入りにくいです。

ステーなどは外さなくてもトランスアクスルにアクセスできますが、作業性を考慮すると全部はずした方が結局早いです。ステー類を外すことで工具が入る隙間ができます。

エンジンは4つのマウントで支えられていますので、一つくらい外しても動きません。エンジンマウントを後で外そうとすると重さがかかってしまいボルトが抜けなくなりますので、左マウントは先に緩めておくと後で楽です。外すとエンジンとミッションが落ちてしまうので、まだ外しません。

エンジンマウントとスターターモーター取り外し

外れているミッションを見てボルト位置を研究しながら外しました。赤い丸がスターターモーターを留めているボルト、緑がトランスアクスルとエンジンを締結しているボルトです。尚、緑のボルトには冷却水のホースや電気系のワイヤーが共締めになっています。

トランスアクスル上部のボルト位置

続いてスターターモーターの取り外しです。スターターモーターには電気系統の配線が2本来ていますので、取り外します。

スターターモーター本体はトランスアクスルに2本のボルト(上から2本の赤矢印)で取り付けられていますので、これを外します。注意点は、スターターモーターを組み上げている長いボルトは外さないということです。トランスアクスルとの取り付けボルトはかなり奥にあります。

以下の写真のように工具がかかりにくいので相当イライラします。笑
時間があれば冷却水関係のホースも全部はずしたほうが楽かもしれません。

ボルトが外れればモーターが外れそうですが、固着しているとなかなか外れません。ちょっとやそっとでは動きませんので、ハンマー等でインパクトを与えてじわじわ抜いていきます。ここがかなり時間がかかります。ガンガンやっているとボロっと抜けます。エアクリがなければ抜くためのスペースはあるので、摘出します。

トランスアクスル締結ボルトの取り外し(上側)

以下の写真が共締めのボルト。スターターモーターを外すことでやっとアクセスが可能になる、相当奥の位置にあるボルトです。

スターターモーターを外したところ

クラッチレリーズシリンダーの分離

続いてクラッチレリーズシリンダーの固定ボルト2本を外します。下からでもアクセスできないことはないですが、上からの方が見やすいです。注意点は、クラッチレリーズシリンダーは2本の固定ボルトは外しますが、それ以上は分解しないという事です。

クラッチレリーズシリンダーを外す

これで上からの作業は完了です。

下からの作業

ドライブシャフト取り外し

続いてジャッキアップします。トランスアクスルを抜くために最大限ジャッキアップする必要があります。このくらいの高さで抜けました。

ジャッキアップ

ジャッキアップしたら先にミッションオイルを抜いてしまいます。時間がかかるので、その間に色々進めます。今年1回換えているのでかなり綺麗でした。

ミッションオイルを抜く
created by Rinker
エーモン(amon)
¥1,349 (2023/05/16 19:14:20時点 Amazon調べ-詳細)

ミッションオイルを抜いている間に邪魔なものをガシガシ外していきます。

まずはドライブシャフトを抜きます。当然のごとく、左右ハブアクスルをフリーにする必要があります。結局外すことになるので、ロアアーム等足回りはすべて外す方が楽です。結局外すことになりますw

ドライブシャフトはバールでこじるとか色々な外し方がありますが、腹をくくってドライブシャフトをガツンと引っ張るとだいたい1発で抜けます。確かにボールベアリング等にはあまりよくなさそうではありますが、色々こじって傷だらけにするより、1発で抜けるほうがダメージは少ないのではないかと思っています。

ちなみに左側のドライブシャフトがどうやっても抜けなかったので、下ろしてから抜きました。

ドライブシャフトを外す

ハブアクスルをフリーにするためにはブレーキキャリパー、ブレーキローターも外します。キャリパーは結束バンド等で吊っておくと楽です。

ブレーキキャリパーは吊っておく

前後ミッションマウント(エンジンマウント)の取り外し

続いて前後側のミッションマウント(エンジンマウント)を取り外していきます。リヤ側はリアメンバーにミッションマウントが取り付けられています。なんとかリヤメンバーを装着したまま分離を試みましたが、マウントとブラケットを分離するのがなかなか大変です。(工具が入りません)

エンジンマウントブラケット

なんとかリアメンバーを外さずに分離しようと、後方からアクセスしてマウントを外し、ブラケットを分離しようと試みました。作業性が悪いのでマフラーを外しました。マウントはリアメンバー下からの固定です。

後方から見たミッションマウント

で、結局はリアメンバーも外しました。

工具が入りそうで入らない。SW20の洗礼です(^_^;)

続いてフロント側のマウントを分離します。まずはマウントとブラケットを分離し、続いてトランスアクスルとブラケットを分離します。

マウントとブラケットを分離

シフトリンクもすべて外します。

トランスアクスル締結ボルトの取り外し(下側)

ここまで来るとエンジンとトランスアクスルを支えているのは左右のマウントだけです。左マウントを外すと落ちてきてしまうので、その前にエンジンとトランスアクスルを締結しているボルトを外します。上側は先程外したので、下側です。

問題は、ボルトが統一されていないので長さも太さもバラバラということです。場所がわからなくなるので、ミッション、ボルト双方にマジックで番号を書いて管理しました。

トランスアクスル締結ボルトの取り外し
トランスアクスル締結ボルトの取り外し

1周外すと13本になります。

トランスアクスル締結ボルト

トランスアクスルの分離

これでやっと外れるようになります。左のマウントを外すと落ちてくる状態ですので、ジャッキを入れて落ちないようにしてから左のマウントを取り外します。右のマウントを支点に傾くようになりますので、ジャッキを調整しながらゆっくり傾けていきます。

左マウントを外すと傾くようになる

あとはバールや貫通マイナスドライバー等を使ってこじっていくと、バコっとトランスアクスルが外れます。意外と外れませんので、根気よくやります。インプットシャフトがそこそこガッチリとクラッチに噛み合わさっていますので、いきなり落ちてくることはありません。

相当重いので、ジャッキで受けるのが無難です。昔はお腹で受けましたが、もう無理です。笑

取り外したトランスアクスルの観察とクラッチ交換

さて、見事下りました。新旧トランスアクスルを並べてみます。

忘れないうちに(なくさないうちに)マウントのブラケットやボルト類を新ミッションに仮付けしておきます。

SW20 NA S54ミッション

ハウジング内はそこそこ鉄粉等で汚れていますが、まぁこんなもんでしょう。目立った傷などは見当たらないので良しとします。

取り外したS54ミッションのクラッチハウジング部分

当初はミッション載せ替えだけでクラッチ交換の予定はありませんでした。

が、中古で購入してから2年以上、20,000km以上走って260,000kmを超えているという状況ですので、スポーツ走行は控えめではありますが、そろそろクラッチが滑り出してもおかしくないかなとは思っていました。

ということで、嫌な予感がしたのでクラッチも外して様子を見てみることにしました。

すると、、、

取り外したクラッチカバーとディスク

あたり!

溝、ありません!(笑)

もってあと数ヶ月だったでしょう。完全に溝がないところもありますので、少しくらいは滑っていたかもしれません。

新ミッションについていたTRDのスポーツフェーシングクラッチ、まだ使わないつもりだったのですが、急遽組み込むことになりました。あくまで中古なので、念の為溝を測定しておきます。0.62mm、深いところは0.9mmくらいありますので、まだまだ使えます。

クラッチ摩耗基準:0.3mm

クラッチの溝深さ測定

クラッチカバーは基本的にはディスクとセットで交換なので、同じく新ミッション購入時についていたカバーに交換しました。が、なんとなく、カバーは結構再利用できるんじゃないかなと昔から思っています。

センター出しとトランスアクスルの組付け

さて、クラッチ交換したらトランスアクスルを組み付けます。ここからは二日目です。

まずはセンター出しの準備。クラッチディスクはカバーとフライホイールの間で浮いている状態なので、このままトランスアクスルを取り付けてもインプットシャフトがうまくクラッチディスクに挿さらないのです。故に、ディスクとカバーのセンターを合わせる作業がセンター出しです。

専用工具もありますが、自作する人が多いです。僕もベアリングプーラーのボルトとガムテープで自作しました。これをディスクに挿してディスク位置を調整します。

created by Rinker
アストロプロダクツ
¥3,619 (2024/11/21 14:03:29時点 Amazon調べ-詳細)
自作センター出しツール

ディスクとカバーをフライホイールに仮止めし、センター出しツールでディスクを動かして中心軸をあわせます。目分量です。

この写真ではディスクが下側にずれている状態ですので、センター出しツールで上に移動し、中心軸をあわせた状態でカバーを締め付けます。

クラッチカバー締め付けトルク:19.5kg/cm

クラッチのセンターをあわせる

ディスクがセンターになったらセンター出しツールは終了。トランスアクスル側に新品のレリーズベアリング等を装着し、エンジンに装着します。

レリーズベアリングを取り付け

ボルト13本のうち、装着できるものから仮止めしていきます。注意すべきは上側の共締めボルト。仮止めしておくと、ついついそのまま本締めしてしまいます。仮止め時から共締めする対象物を忘れないようにしましょう。

トランスアクスルを組む

あとは逆順で組み上げていくだけです。なぜか整備書においてトランスアクスルとエンジンの締め付けに関する部分だけ適当で、締付けトルクの解読がなかなか大変です。

夜になってしまいましたが、見事組み上がりました!

ミッション交換終了!

テスト走行とインプレッション

ミッションについて

ミッションオーバーホール自体初めてですので走るかどうかすら心配でしたが、無事に走りました。

ただし5速だけ入りにくい状況で、これはシンクロの摩耗によるものと思われます。(過去記事参照)

確かに5速シンクロは削れているなとは思っていたのですが、見事に入りにくいという結果。このくらい削れているとこうなるという方程式がわかったので、貴重な経験となりました。

実際はダブルクラッチすれば5速に入りますし、そもそも5速の頻度は低い上に、5速を使うようなサーキットに行くつもりがないので、機会があったらシンクロを交換したいと思います。

LSDについて

今回LSDを組み込んだのですが、イニシャルがちょっと低かったかもしれません。ビビってないで10kg以上にするべきだったと思います。笑

ヘアピンカーブなどの鋭角の曲がりにおいてアクセルオンするとたしかにLSDが効いています。コーナーでもLSDが効いてくるため立ち上がりが良いのがわかります。が、想定イニシャル8kgくらいだとあまりLSDらしさは出てこないようです。

街乗りという意味ではちょうどよいイニシャルトルクなのかもしれません。

クラッチについて

今回図らずもTRDスポーツクラッチへの交換となりました。

かなり踏み心地が変わって固くなりました。ディスクも強化ディスクだったものと思われます。とはいうものの、個人的には純正ディスクよりはっきりと接続を感じられるので運転しやすいです。

強化ディスク未経験の人にはかなり重いクラッチになると思いますが、、、苦笑。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です