リバーブサウンド改善講座 その3「リバーブ幅のコントロール」ステレオ幅で聞こえ方を変える  [難しさ:ムズい vol.112] ボーカルの音作り・リバーブの使い方

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リバーブの音質を気にかける人は多いと思いますが、リバーブの幅を調整したことはあるでしょうか。リバーブのステレオ幅M/Sバランスをコントロールすることで、リバーブ対象の音像のサイズや聞こえ方を調整することができます。この記事ではリバーブの幅を変化させる手法をお伝えします。

この手法を使うにはリバーブそのものの響きが良いことが大前提となりますので、前回・前々回の記事をお読みいただいた上でチャレンジしてみてください。

リバーブサウンド改善講座 その1「リバーブ前コンプ」リバーブ入力音量を均一化する
リバーブサウンド改善講座 その2「リバーブ前EQ」リバーブ入力音量を最適化する

また、MS処理については少々難しい内容になりますので、以下のMS処理に関する説明をお読みいただくとわかりやすいと思います。

MS処理って何? 解説と3つの初歩的な活用法

動画版はこちら

記事で使用している練習素材は以下で販売しています。


リバーブの幅を変えてボーカルのサイズ感を調整する

リバーブの幅について考えたことはあるでしょうか?

リバーブは広がりを得る目的であるためステレオエフェクトとして使われることがほとんど。したがって、L/Rどのくらいまで広げるかという「ステレオ幅」を調整することができます。ステレオ全開(L 100% / R 100%)で使わなければいけないように見えますが、そんな事はありません。ステレオ幅を自由に設定することができます。

その裏付けとして、一部のリバーブエフェクトには「Width(ウィドゥス:幅)」というパラメーターが存在します。例えば、本講座でも使用した無料のリバーブ、Voxengo OldSkoolVerbにはReverb Charactor(リバーブキャラクター)のセクションに[WIDTH]というパラメーターがあり、狭めることでリバーブの幅が狭くなります。(ステレオ全開を100%として設定します。)

ボーカルに使用し、リバーブ音量を大きめにした状態でWIDTHパラメーターを変更してみましょう30%程度にすると左右に広がっていたリバーブがボーカルの後ろに集中し、ボーカルのサイズ感が大きくなったような印象になると思います。

Voxengo Old Skool Verb

ただしWIDTHというパラメーターがどのリバーブでも同じ効果をもたらすとは限らないので注意が必要です。

例えば以下は筆者愛用のSonnox Oxford Reverbです。EARLY REFLECTIONS(初期反射音)のセクションにWIDTHのパラメーターがあります。

Sonnox Oxford Reverb
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リバーブ幅を調整するように見えますが、説明を読むと0%が標準設定であり、ステレオの広がりを加算するようなパラメーターであることがわかります。

Control the stereo separation of the room reflections depending on their placement within the stereo field. Normal placement occurs with the control at its minimum setting. Increasing the control setting provides wider separation. Settings beyond 100% produce ultra-wide separation, often useful when adding spatial effects to single mono track.

(意訳)ステレオフィールド内の配置に応じて、初期反射音のステレオの広がりをコントロールします。
最小に設定すると通常の広がりとなり、設定を大きくすると広がった音になります。100%を超える設定にするとかなり広がったサウンドになり、モノラルトラックに空間的なエフェクトを加える場合に便利です。

Sonnox Oxford Reverbのポップアップより引用

ということで、WIDTHはエフェクトによって動作が異なるため、ステレオ幅をコントロールするにはリバーブトラックのPANを使う方が簡単です。

リバーブトラックのL/R PANを使う

リバーブトラックのPAN幅をステレオ全開を100%とした時に30%程度に狭めてみましょう。先程のOldSkoolVerbの時のようにボーカルの後ろにリバーブが固まるような響きが得られます。

リバーブトラックのPAN幅を30%程度に狭める
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このように、ボーカル本体に手を加えることなく、リバーブを使ってボーカルの大きさをコントロールすることができます。


初期反射音(アーリーリフレクション)とは?こちらの記事をどうぞ。

リバーブ集中講座2 臨場感を作るショートリバーブとリバーブ活用の裏技

リバーブのPAN幅を狭める場合の注意点と解決策

便利な技ですがいくつか注意点があります。

ボーカルを邪魔しやすいので高域の量や音圧感に注意する

左右に広がっていた音を中央に寄せるため、ボーカルを邪魔しやすくなります。狭めたリバーブを大きく出しすぎるとボーカルそのものがよく聞こえない、もやもやするといった影響が出てきます。

対策としては、音量を小さめにして使うか、リバーブ後にEQをインサートして、メインボーカルとぶつかる高域、中低域あたりをカットして調整すると良いでしょう。

リバーブ後にEQをいれて調整する

メインボーカル以外のトラックとリバーブを共用できなくなる

幅を狭めたリバーブでメインボーカルのサイズ感をコントロールした場合、他のトラックと共用することが難しくなります。なぜならば、他のトラックのサイズ感も変わってしまうためです。例えばコーラスとメインボーカルでロングリバーブを共用している場合、広がってほしいコーラスのサイズ感も小さくなります。

このような場合は、メインボーカルのリバーブを固めた後にトラックを複製し、コーラス用とメインボーカル用を分け、異なるPAN幅を設定すると良いでしょう。

リバーブを複数台使用して異なるPAN設定を行って回避する

もしくは、ロングリバーブには使わずに、ショートリバーブ等、もともとメインボーカルにしか使っていないリバーブのPAN幅を狭めるのも有効です。

ショートリバーブ(ルームリバーブ)はもともと残響が短く部屋の臨場感だけを付加しているため、リバーブ幅を狭めるテクニックとの相性が良いです。ロングリバーブはそのままに、ショートリバーブの幅を狭めてみてください。

以下ではショートリバーブにONKIO ACOUSTICSを使用しており、ONKIO ACOUSTICSの幅を狭めています。

ショートリバーブの幅を狭める

ONKIO ACOUSTICS 歌ってみたボーカルをリッチにするリバーブ 初心者向け使い方&レビュー

発展的なコントロール リバーブのMSバランスを調整する

PAN幅を使って狭めるテクニックでしたが、狭めても良いということは、広げても良いということでもあります

PAN幅は最大値がL 100% / R 100%ですが、MSバランスを調整すればさらに外側に配置することができます。つまりは、リバーブの後段にステレオイメージャー等のMSバランスを可変できるプラグインをインサートして、SIDE成分を強くするということです。

一般的なステレオイメージャーでも可能ですが、筆者の場合はWaves Centerを使用することが多いです。リバーブ後段にCenterをインサートして、CENTER成分を-6dB程度下げてみましょう。

リバーブ後段にWaves Centerを使う
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Centerは単品販売のほか、Diamondバンドル等に収録されています。

Waves Centerは一般的なステレオイメージャーやMS調整プラグインより複雑な動きをしており、結果的にはCENTERフェーダーを下げるとM成分だけが違和感なく下がって聞こえます。その隙間にセンター定位のボーカルがすっぽり埋まるため、リバーブがボーカルの居場所を邪魔することがなくなります。リバーブを大きくしたい、広がったリバーブを作りたい場合に有効なテクニックです。


MS処理とは?こちらの記事を御覧ください。

MS処理って何? 解説と3つの初歩的な活用法


ということで、ステレオ全開がスタンダードと思われているリバーブ幅をコントロールするテクニックでしたが、いかがだったでしょうか。

このテクニックを使うと、ボーカル等のリバーブ対象そのものを調整することなく聞こえ方を変えることができます。前回、前々回を含め、リバーブで響きをつけるだけでなく、リバーブ対象の聞こえ方を変化させるという一歩進んだテクニック。もちろんすべてのシチュエーションで使えるわけではありませんが、引き出しに入れておくと便利なテクニックです。

リバーブエフェクト本体ではなく、リバーブエフェクトの前後でコントロールするテクニック、ぜひミキシングに取り入れてみてください。

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