はじめてのドラムサウンド day3 他の楽器に負けない音作り

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みなさんこんにちは!ドラムの音作りも3日目です。今回はドラム以外の音を重ねてみます。

え?ドラムの音作りなのに?

いえいえ、ここが重要なのです。ドラムだけでいい音を作るのはさほど難しくないのです。Addictive Drumsなどは音がいいので、そのままでも良いくらい。

ミキシングというのは他の音と混ざってナンボなので、混ざることを踏まえて音を作っていく必要があります。今回は音が重なるとどうなるのか、それに耐える音はどうやって作っていけば良いのかをお伝えしたいと思います。

はじめてのドラムサウンドメイキング day3〜他の音に負けない音作り パッツンサウンドに挑戦! for Addictive Drums〜 SoundWorksKミキシング講座  [vol.028 難しさ:ふつう]

他の音が重なった状態でドラムの音を聞いてみよう

本講座専用のデータを用意していますので、ぜひご購入下さい。

ここまではドラムだけの音を聞いてきましたが、ドラム以外の音(サンプル音源ではベースとエレクトリック・ピアノ)も再生して聞いてみましょう。

ミュートするトラック:HiHat, Tom1, Tom2, Tom3, Tom4, Room
再生するトラック:Kick, Snare, Overhead, Bass, Electric Grand
ドラムは前回の記事を参考にグループチャンネルにまとめてください。

各トラックのボリューム:Drums=-3dB, Bass=-12dB, Electric Grand=-8dB

ドラム以外の音を再生して聞いてみよう
各トラックのボリューム設定

ドラムだけの状態と他の楽器を入れた状態で切り替えながら、どのような違いがあるか聞いてみて下さい。特に以下の部分に注目するとわかりやすいでしょう。

  • 低音、特にバスドラムの低音の聞こえ方
  • スネアの前後位置、どのくらいの位置にスネアが聞こえているか

いかがですか?

ざっくり言うと、引っ込んでしまうのです。特にバスドラムとスネアが、引っ込んでしまいます。トップの音(Overheadトラック)あまり印象が変わらないと思います。

ミキシングというのは混ざった状態で良いものを作る必要があるので、引っ込んでしまうことを前提にドラムの音作りをする必要があるのです。

つまり、ドラムをソロの状態で音を完成させてはいけないのです。ソロの状態で音を作りつつ、他の音が来ることを念頭に置くことが重要なのです。ドラム単体で聞いて良い音!と思ったところから2割くらいアグレッシブに音を作るイメージを持ちましょう。

パッツーンというスネアを作ってみよう

アグレッシブな音を作る時に重要な役割を担ってくれるのがコンプレッサー。ここではコンプレッサーを強めにかけたパッツンスネアサウンドを作ってみましょう。

前回の内容でコンプレッサー、トランジェントシェイパーなどを使っていると思いますが、一旦すべて無効にしましょう。プラグインを削除してしまって大丈夫です。その上で改めてコンプレッサーを挿入します。まずは標準的なものを使いましょう。

使い方は前回までの内容と同じですが、以下のように設定してみてください。スレッショルドもとにかく強め(低め)に設定します。

スネアのトラックに強めのコンプレッサーをかける
  • レシオ:10:1など二桁以上に(Cubase標準コンプレッサーの場合は[Hi]を選択)
  • アタック:10ms〜15ms程度(ドラムにしては遅め)
  • リリース:20ms程度(速め)

どうでしょう?

ぱっつーんという感じの音になりませんか?

原音からは離れていきますが、カッコイイ音ですよね。コンプレッサーによって音が圧縮され、密度の高いパンチ力のある音になりました。ベース、ピアノも再生してコンプレッサー無しの状態と比較してみて下さい。音が聞こえやすくなっているはずです。

ポイントはアタックが遅くリリースが速いこと。端的に言うと「コンプ臭い音」という音です。「コンプレッサーかかってるな〜」という音ですね。一般的にコンプ臭い音は嫌われるのですが、ドラムにおいてはアグレッシブな音作りで必要不可欠な音です。

コンプレッサーを変更してさらにアグレッシブな音にする

では先程のコンプレッサーをビンテージ系のものに変更してみましょう。前回と同じ手法ですね。まずはCubase純正のVintage Compressorから。

同じような設定でVintage Compressorをスネアにかける

いかがでしょう?

さらに説得力のある音になりました。原音からは大きく変化してしまうのですが、「グッとくる」音に変化します。「倍音」という成分が程よく付加されるために起こる現象ですが、音楽の世界では好まれています。故に音楽の世界ではビンテージ機器が今でも愛されています。

異なる種類のビンテージコンプレッサーも使ってみて下さい。

覚えていただきたいことは、ビンテージ系のコンプレッサーを使うことで音に色がつくという感覚です。音量のコントロールやパッツンサウンド自体はどんなコンプレッサーでも作れますが、色をつけるのはビンテージ系コンプレッサーの専売特許です。

Fairchild 660/670にチャレンジ

ビンテージ系で慣れてきたらオススメはFairchild 660/670というモデルをシミュレートしたプラグインです。僕はバスドラムやスネアによく使います。強めのコンプ感と強烈な色をこれ1台で実現できます。色々なメーカーからリリースされていますが、概ね以下のようなルックスをしています。

使い方がちょっと難しく、レシオとアタックタイムの設定はありません。入力レベルとスレッショルドの組み合わせでかかり具合を調整します。TIME CONSTANTはリリースタイムのようなもので、ドラムで使う場合は1で良いと思います。

1.TIME CONSTANTを1に設定
2.NPUT GAINを上げていく
3.THRESHOLDを上げていく
出力レベルを見ながら2-3を繰り返して丁度よい設定を探す。(コンプレッサーがかかっている音で、出力がオーバーしない設定)

T-Racks VC-670

Fairchildはもともとバスコンプ(グループチャンネル)、最終段のリミッター的用途で生まれましたが、現代では異なる使い方をされます。この記事が詳しくて参考になりますので興味があれば読んでみて下さい。

プラグインを足して完成させる

これまでに出てきたプラグインを足してスネアの音を完成させてみましょう。

コンプレッサーの後にトランジェントシェイパー、次いでイコライザーとします。

トランジェントシェイパーではアタック(トランジェント)を強くしてみましょう。他の楽器の音を再生しながら設定を決める、もしくは単体で聞いて決めた数値の2割強くらいにするのがコツです。加えてリリースを伸ばすことでさらに強烈な音になってきます。

Envelope Shaperでアタックとリリースを強調

次いでイコライザーについては第1回の内容の通り、胴鳴りとアタックに分けて考えて調整をします。胴鳴りは150-300Hzあたり、アタック(トランジェント)は4kHz付近を調整してみましょう。レベルオーバーする場合はイコライザーの前段のエフェクト(Vintage Compressor/Envelope Shaper)で出力を下げましょう。

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これでスネアの音が完成しました。ベース、ピアノと一緒に再生しても埋もれにくい音になったのではないでしょうか?

ここでベース・ピアノをミュートしてスネアの音を聞いてみて下さい。原音とは異なる、かなりアグレッシブな音になっていると思います。スネア単体で聞くとやりすぎ感があるけど、混ぜて聞くとちょうどいい。この感覚をマスターしてください。

バスドラムの音作り

基本的にはスネアの音作りと同じ流れです。スネアで作ったエフェクトをバスドラムのトラックにコピー・ペーストすると効率的です。

バスドラムではパッツンサウンドが好まれませんので、コンプレッサーの設定を弱めましょう。

  • レシオ:8
  • ATTACK:10ms(スネアと同じ)
  • RELEASE:AUTO
  • INPUTを下げてコンプレッサーがかかる量を少なくしましょう。
バスドラムにコンプレッサーをコピー・ペーストして調整

トランジェントシェイパーではアタックについてはスネアと同じように。しかしリリース側は少なく(短く)しましょう。バスドラムのリリースを短くすることで音全体がタイトになってきます。

バスドラムのリリースは短く

最後にイコライザーですが、同じように胴鳴りとアタックでイメージして調整します。バスドラムの胴鳴りは低く、80-160Hzあたりを意識すると良いでしょう。アタックはスネアと同じように4-5kHz付近ですが、かなり強めにしてください。この帯域を強くブーストすることで他の音に埋もれないバスドラムが作れます。

バスドラムのイコライザー

タムの音作り

タムについては基本的にスネアと同じように作れば問題ありません。スネアと音の雰囲気を合わせるためにスネアトラックのエフェクトをコピー・ペーストすると良いでしょう。

コンプレッサーは出力音量(OUTPUT)の音量を調整するだけでOKです。出力がオーバーしないところまで上げましょう。

タムのコンプレッサーの設定はほぼスネアと同じでOK

イコライザーはハイタム(Tom1)、ミッドタム(Tom2)についてはスネアと同じでOK。フロアタム(Tom4)ではバスドラムと同じような設定が良いでしょう。音量は一旦下げてから上げていくことで大きすぎずに丁度よい音量になります。

タムの設定はスネアやバスドラムからコピー・ペーストで作ると効率的

トップ(Overhead)の音作り

最後にトップの音作りをもう一度見直しましょう。イコライザーを挿入して低域をカット、高域を少し伸ばしてきらびやかさを付加しましょう。

トップの音はバスドラム・スネア単体トラックを邪魔しないようにイコライジングする

トップのトラックにコンプレッサーをかけることでさらにアグレッシブな音にすることもできますが、トップのマイクに綺麗にコンプレッサーをかけるのはなかなか難しいと思います。(シンバルがコンプ臭い音になりやすいです。)

まずはトップのトラックはイコライザーのみで高域担当、バスドラム・スネアのトラックが低域とアグレッシブな音の担当と、役割分担して考えるとコントロールしやすいでしょう。アグレッシブにしたいときはバスドラム・スネアを大きめに、逆に大人しくしたいときはトップを大きめにすることで全体の質感を調整できます。

最終調整(各トラックのトランジェントと迫力)

最後にベース・ピアノを再生しながら各トラックのアタック感(トランジェント)と迫力をイコライザーを使って調整しましょう。出すぎていると感じたら弱めに、聞こえないと感じたら強めに調整します。

  • スネアが引っ込んでいる→スネアのトラックのアタックをEQで引き出す
  • タムがうるさい→タムのトラックのアタックをEQで抑える
  • バスドラムが軽い→バスドラムのトラックの胴鳴りをEQでブーストする

といった具合です。各トラックで目的を持った調整をしておけば、自由自在に音量感や聞こえ方をコントロールできるのです。


いかがだったでしょうか。

今回のポイントはドラム単体で必要な音と、他の楽器が混ざったときに必要な音が異なるということです。ドラム単体で完成する訳ではないので、常に他の音との兼ね合いを意識し、他の音が入ってきてもコントロールできる状態にしておくことが大切です。

次回は響きをつける方法について説明していきます。乞うご期待!

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