コンプレッサーが面倒だという人のためのコンプ Waves Renaissance AXX の使い方
お気に入りのプラグインエフェクトを紹介していくコーナー、今回はWavesのGOLDバンドルにも入っているコンプレッサー、Renaissance AXXです。様々なコンプレッサーがある中で、一見普通のコンプレッサーに見えないこと、名前が強そうであるため使うことを敬遠している人も多いかもしれません。
しかしその実、使ってみると非常に便利な「コンプレッサー」です。
特にいろいろな設定が面倒だけどコンプレッサーで音量を整えたい時に便利。楽曲のトラックは主役ばかりでなく、ささっと音作りを終わらせたいトラックがいることも事実でしょう。そのようなトラックには非常に便利な逸品。また、ギタートラック、そして音を前に出したくないコーラストラックにも非常に便利です。
初心者の方向けに使い方を説明していきます。
動画版もありますので、ぜひご覧ください。
Renaissance AXXはWaves GOLDバンドルに含まれています。コレがあれば仕事ができる、無駄なものが入っていない、基本が揃っている、ということで、筆者オススメのプラグインバンドルです。
目次
Renaissance AXXとは?
AXXという名前からアグレッシブな音がする、音質変化の大きいエフェクトを想像してしまいますが、実際は、ひとつの操作で適度なコンプレッションを行うことができる簡単コンプレッサーです。
説明書ではWavesの名プラグインRenaissance Compressor(ルネサンス・コンプレッサー)のテクノロジーを使用しているとは書かれていますが、特定のアナログ機器をエミュレートしたなど、音質変化を伴うような記述は見受けられません。実際に使ってみても音量はコントロールされますが、音質変化は少ない印象です。
実際にパラメーターは3つしか無いので、「音量を整える」という用途においては非常に簡単に目的を達成することができます。
コンプレッサーは以下の目的で使われることが多いと捉えています。
- 音量のコントロール
- アタック音(トランジェント)のコントロール
- 音質を変化させる
この3つの目的を意識せずに使うことでややこしいと感じてしまい、コンプレッサーが難しいと感じてしまうのです。
Renaissance AXXでは1と2の目的を果たすことができますので、やってみましょう。
Renaissance AXXの使い方
コンプレッサーのかかり具合を設定する
まずは効果をわかりやすくするために、[ATTACK]を最速の0msに設定しておきましょう。
続いて、どの音量から動作を開始するかを[Thresh(=Threshold、スレッショルド)]で設定します。フェーダーを下げていくと動作開始が早くなります。音源を再生しながら下げていきましょう。
中央の[Attenuation(アッテネーション)」メーターは、どのくらい圧縮されているかを示しています。アッテネーションというのは減衰のことで、音が小さくなっているということです。-6dB程度のアッテネーションがかかるまで[Thresh]を下げていきましょう。
実は!
これで設定完了です。通常のコンプレッサーにあるようなレシオは存在しませんし、圧縮した分だけ出力上げる必要もありません。
Renaissance AXXは非常によく出来ており、[Thresh]を下げていくだけで[Thresh]と入力音に合わせた設定値に設定されます。ざっくり説明すると、[Thresh]を大きくさげると、レシオも比例して強くなっていくようです。また同時に、出力音量も大きくなって音量差が整えられていきます。
つまり、とにかくスレッショルドを下げれば音量を整えてくれるということです。
出力音量を確認する
続いては[Gain]を調整して出力音量を調整します。
Renaissance AXXにはなんとリミッターも組み込まれていますので、[Thresh]を下げて音量が大きくなってきてもレベルオーバーはしにくい設計になっています。[Output]メーターの上に[Limiter Activity Indicator(リミッター・アクティビティ・インジケーター)]というランプがあります。搭載されているリミッターの動作状況を「消灯・黄色・赤色」の3つで示してくれます。
簡単に説明すると、赤く点灯していたら黄色または消灯になるように、[Gain]を下げましょう。(もしくはThreshを戻しましょう)
それだけです。
リミッターは強めにかかるとさすがに音質変化を感じますので、音質変化を望まない場合は消灯するまで下げておくと良いでしょう。
音の立ち上がりを調整する
最後に必要であれば音の立ち上がりを調整しましょう。
最初に[Attack]=0msに設定しました。これは、アタック音が全く通過しない設定なので、音が前に出ない設定です。少しずつ[Attack]を緩めていく=大きい数値にしていくことでアタック音が戻ってきて、音が前に出てくるようになります。
前に出てほしくないトラックでは0msなどの短い設定がお勧めです。ボーカルとコーラスでコーラスにAXXを使用した場合、コーラストラックのアタックをすべて抑え込んでしまえば自然と後ろに下がってくれます。0ms設定ができるコンプレッサーは貴重なので、アタックを削りたい時にRenaissance AXXは活躍します。
Renaissance AXXが真価を発揮するのは、音量調整という役割だと感じます。つまり確実に音を抑えてくれた方が良いので、[Attack]は0〜10ms程度の短めの設定で使うことが多くなると思います。逆に長いアタックタイムできっちり音作りするような場合は、他のコンプレッサーを使う方が向いているでしょう。
Renaissance AXX、いかがだったでしょうか。とりあえずコンプレッサー、意外と使用頻度が高いものです。スムーズなミキシングに貢献してくれるでしょう。
説明書(英文)
https://www.waves.com/1lib/pdf/plugins/renaissance-axx.pdf
ミキシングを中心にレコーディングからマスタリングまで手がけるマルチクリエイター。一般社団法人日本歌ってみたMIX師協会代表理事、合同会社SoundWorksK Marketing代表社員。2021年よりYouTubeチャンネル「SoundWorksKミキシング講座」を展開中。過去には音響機器メーカーTASCAM、音楽SNSサービスnanaのマーケティングに従事。
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