SW20 MR2 機械式LSDオーバーホール2 自作シムでイニシャルトルクアップ (NA用 TRD LSD)
前回の続きです。
そう、きちんと閉まる予感がしなくなったLSDオーバーホールの続きです。前回はこちら↓
目次
1.5WAYで組み直してみる
実は前回のブログを書いているうちに組み方がおかしいということに気づきました。写真を見直したり記事にまとめることは自分のためにもなるなと思った次第です。
ちなみにおかしいと気づいたのは以下2枚の写真の見比べによります。
クロスシャフトが入っているカム穴の位置が違います。左の分解前はカム穴の角度がキツい面とクロスシャフトが見えます。右の写真では角度が90度のカム穴にクロスシャフトが入っています。
今一度作業場で閉まらないLSDを見てみると、たしかに1WAY穴のまま組み付けています。
説明書が入手不可能なのであくまで予測ですが、1WAYで組む時はクロスシャフトを逆にする(=クロスシャフトの直線側とカム穴の90度側を合わせる)のではないかなと思いました。そうすると1WAYカム穴でも閉まる気がします。
とういことで、1.5WAY穴(=90度面がないカム穴)でもう一度組み直してみます。
蓋を締めて押してみると、蓋が動きます。中のスプリングが効いている感じです。組み直す前(間違えた組み方)の時は全く蓋が動きませんでしたので、これなら閉まる気がします。
シャコ万力をつけると見事に締まりました。シャコ万力で締めてからであれば六角ボルトは全く苦労なく回すことができます。
横からカム穴を見ると1WAY穴が空っぽの状態になりました。
イニシャルトルク計測用治具の作成
さて蓋が閉まったらお次はイニシャルトルク測定です。
巷では車載状態で測る方法はたくさん出てきますが、LSD単体で計測する場合はスプラインシャフトから作った治具が必要という情報しか出てきません。CUSCOで計測用のSSTはあるらしいですが、SWに合う気がしませんよね、、、(;・∀・)
※新情報!
後でちゃんと調べたら、以下のLSD SST07はSW20 NAに適合するようです。カタログにも掲載されています。ただしこの工具がどういう実態なのかは全くわかりませんw
https://www.cusco.co.jp/cusco_catalog/333/
ちょうど交換したドライブシャフトの残骸があったので、切り出して作ってみることにしました。
デフ側のスプラインシャフト部分を切り出します。他の部分は完全にゴミになりますが、、、(^_^;)
ディスクグラインダーで切断しましたが、さすがはドライブシャフト。かなり切断に時間を要しました(^_^;)。2本切るのに砥石を3枚使いました。。。
切り出したらまずはトルクレンチを接続する側をディスクグラインダーで成形します。
切断した面を切り落として6角形を作り、適当なソケットがはまるようにする計画です。30〜32mmあたりのソケットがいけそうな気がします。そんなぴったりの精度でボルト頭が作れるのかわかりませんが(笑)。
ま、当然ピッタリには作れず(笑)、なかなかソケットが入りませんでした。
32mmのソケットを当てては外し〜を繰り返していたらだんだん近づいてきたのですが、ある時ハマって取れなくなってしまいました。
で、よく考えたら32mmのソケットなんか、いらんな、と(笑)。
32mmはターボのドライブシャフトハブ側のナットくらいしか使いません。僕の車はNAなので30mmナットです。加えて我が家にはなぜか32mmのインパクトレンチ用ソケットがあります。
ということで、せっかく抜けなくなったのでそのまま打ち込んでしまえ!と発想転換し、見事片側完成ですw
反対側、バイスに固定する側についてもカットして平行面を作りました。
ということで見事完成したのがこちら。素晴らしい出来栄えw
自作イニシャルトルク測定SST 貸し出しについて
以下のアプリで貸し出しも行っていますので、必要な方はお申し込みください。
https://www.alice.style/rental/JfMzzNodxAuLi7IW
イニシャルトルクを測定する
ということでイニシャルトルクの測定に移ります。
なぜ計測するかと言えば、状態不明のLSDなのでイニシャルがきちんとかかっているかどうかはかなり怪しいものです。とりあえず測ってみて対策を考えようということです。
結果は、、、
28N/m
つまりイニシャルトルク2.8kg/mです。全然ダメでしたwww
もはやオープンデフと言っても過言ではなさそうです(笑)。
ちなみに針形のトルクレンチの方が測りやすいそうですが、普通のトルクレンチでも何回かに分ければ計測は可能でした。トルクを上げていくとLSDごと回り出しますので、1段階下げて計測。回らなくなってトルクレンチがガチャコンしたところがイニシャルトルク値ということになります。
自作シムの作成
イニシャルトルク2.8kgのLSDをわざわざ組む気はないので(笑)、なんとかイニシャルトルクを復活させたいところです。しかしリペアキットも販売完了、シムも販売完了なので、流用するか作るかどちらか。
ネットで調べてみるとアルミ板やステンレス板で自作している人をちらほら見つけましたので、挑戦してみます。
まずはホームセンターでアルミ板を入手します。0.1m厚にしようかと思いましたが、なにせイニシャル2.8kgなので厚さは必要かと思い、2mm厚のアルミ板にしました。
また、円形に切らないといけないのでコンパスカッターも入手しました。
スペーサープレートとだいたい同じ大きさのシムを作りたいので、スペーサープレートの外周・内周を計測し、アルミ板を切っていきます。
内周半径25mm、外周半径38mmでカットしました。コンパスカッターの針がどんどん刺さってしまい、穴が大きくなってしまうのでブレて大変でした。コンパスカッターは動かさずにアルミ板を回転させるほうが綺麗にカットできます。
ちなみに内周はコンパスカッターで切りましたが、外周はハサミで切りました。ハサミの方が5倍くらい早く切れますw
なんとか4枚取ることができました。バリなどがあるとLSDの中にゴミをわざわざ入れるようなものなので、紙ヤスリでバリを取り、表面も研磨しました。
厚さ合わせと自作シム挿入、蓋閉め
シムを入れていきますが、その前にディスクとプレートの厚さを計測してみました。以下の通り、左右に0.11mmの差がありました。
スペーサープレートA | 2.3 | |
フリクションプレートA | 1.76 | |
フリクションディスクA | 1.55 | |
フリクションプレートB | 1.76 | |
フリクションディスクB | 1.56 | |
蓋側合計 | 8.93 | |
釜側合計 | 8.82 | |
フリクションディスクC | 1.57 | |
フリクションプレートC | 1.57 | |
フリクションディスクD | 1.58 | |
フリクションプレートD | 1.8 | |
スペーサープレートB | 2.3 |
買ってきたのが0.2mmのアルミ板なので、0.1mmの差を埋めるのは困難です。ということで、0.1mm厚を買ってきて1枚足すことになりそうです。
シムをどこに入れるか迷ったのですが、ディスクもプレートも溝があるので、溝を埋めるのはよくなさそう。
ということで、スペーサープレートの外側に2枚入れてみました。
この状態でイニシャルトルクを測ってみると、、、
85N/m!ヽ(=´▽`=)ノ
約8.6kg/m。まぁまだ低めではありますが、かなり改善されたと言って良いでしょう。自作シムでもちゃんとトルクに貢献するんですね。ま、ちゃんと動くかは組んで走らないとなんとも言えませんが(苦笑)。
シムを0.1mm足せばちょうど良さそうな気がします。またアルミ板を買ってきて0.1mmシムを作成してみます。
と、いうことでLSDオーバーホールも終わりが見えてきました。次回は0.1mmシムを足してバラして洗浄、組付けをしてみたいと思います。
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ミキシングを中心にレコーディングからマスタリングまで手がけるマルチクリエイター。一般社団法人日本歌ってみたMIX師協会代表理事、合同会社SoundWorksK Marketing代表社員。2021年よりYouTubeチャンネル「SoundWorksKミキシング講座」を展開中。過去には音響機器メーカーTASCAM、音楽SNSサービスnanaのマーケティングに従事。
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