SW20 MR2 機械式LSDオーバーホール1 ミッションオーバーホール その2 (NA用 TRD LSD)
前回の記事ではミッションを割ってバラバラにしました。せっかくばらしたので、素性が不明なLSDもオーバーホールしてみたいと思います。
前回の記事はこちら。
特筆すべき必要な工具
シャコ万力
貫通マイナスドライバー
デジタルノギス
リペアキットは生産完了
摘出したLSDはこちら。
そもそも「多分LSDが入っているけど謎」という条件で譲り受けたミッションなので、どの程度のLSDなのか、そもそもどんなLSDなのかすら全くもって不明です。
色々調べて形状からTRDのLSDであろうという判断に至りました。以下のサイトに過去製品として掲載されています。
TRDに問い合わせてみましたが、生産完了はもちろんのこと、既にリペアキットを含めすべての在庫が完売しており、販売終了orz。説明書すら残っていないとの回答でした。説明書が無いのは初期状態がわからないのでなかなか厳しい、、、(^_^;)
TRDの品番
NA用機械式LSD:41301-SW202
もしディスクの摩耗が激しい場合は復活が難しそうです。しかし摩耗が激しいかどうかもよくわかりませんので、最終的にはイニシャルトルクを計測して判断するしか無いでしょう。
(あ、イニシャルトルクをどうやって測るか考えないと、、、)
ま、とりあえず分解してみますw
LSDを開ける
まずはリングギヤとLSDを留めているボルトを外しますが、ロックプレートでカシメてあるので、貫通マイナスドライバーとハンマー等でカシメを解きます。
ロックプレートは4枚あり、なんとか再利用できないこともなさそうです。が、僕はカシメを解く段階で金属疲労によって1枚折ってしまいました。そこまで強くなさそうなので、整備書の指示どおりに交換したほうが良さそうです。
41222-32010
41222 リヤディファレンシャル リングギヤ ボルト ロックプレート
モノタロウ価格 税込み143円/1枚
リングギヤはプラハン(プラスチックハンマー)等で叩いて外すとよく言われますが、特にハンマーも使わずに簡単に外れました。リングギヤを外すとLSDを締めている4本の六角ボルトが出てきました。
情報によるとこのボルトをそのまま外すとかなりの確率でナメるとのこと。
LSDの内部はフリクションディスク等が詰め込まれたビックリ箱のような状態であるため、蓋が開く方向に強い力がかかっており、かなりのトルクになっているようです。
シャコ万力を使って締めた状態で六角ボルトを緩めます。こうするとボルトに負荷がかからないので簡単に外せます。
ボルトを外したらシャコ万力を少しずつ緩めます。だんだん蓋が開いてきます。いきなり全開にするとびっくり箱なので注意です。
緩めていけば見事御開帳です。
TRDのLSDは両端にスペーサープレートがあるのですが、以下の写真では蓋に張り付いています。LSDの釜の方に見えるのはフリクションプレートです。
SW20のLSDの説明書はありませんが、ニュー86用であれば説明書が掲載されています。見た感じほとんど同じ構造だと思います。
ちなみにもしかして品番変えたら説明書掲載されているのでは?と思って以下のURLを手打ちしましたがダメでしたw
<https://www.trdparts.jp/manual_pdf/SW20/41301-SW201.pdf>
蓋に張り付いていたスペーサープレートを釜の方に持ってきてみました。ガッツリ跡がついていますが特に傷や破損は見当たりません。
中身を摘出してチェックしてみる
あとは逆さまにして中身を出すだけです。ネジ等で留まっている訳ではないので、逆さまにするだけで出てきます。ということは、いきなり全部出る可能性もあるのでそ〜っと出してください。
まずは蓋に近い方のディスク類です。左からスペーサープレート、フリクションプレート、フリクションディスク、フリクションプレート、フリクションディスクです。4枚プラス1枚。シムは見当たりません。
蓋側のディスクとプレートを出すとプレッシャーリングとサイドギヤの端が見えます。サイドギヤは少し汚れがあるようです。新しいLSDではないということはわかってきました(笑)。
プレッシャーリングを外すとクロスシャフトとピニオンギヤが出てきます。こちらも見たところでは摩耗、破損は見当たりません。まぁ、計測しようにも数値がわからないので計測しようもないのですが(苦笑)。
プレッシャーリングとサイドギヤは1対になっていますので、釜側にもう一組います。摘出して組み合わせてみました。
見たところ、プレッシャーリングのカム穴の形が2種類あるのがわかります。おそらくもともとの位置(下の写真)のカム穴が1WAY、隣の穴が1.5WAYではないかと思います。組み替えれば動き方を変えられると予測します。予測です(笑)。どこまで行ってもメカなので、よく考えれば自ずと向きはわかってくるような気がします。
実は以下の写真、僕が適当に組んでしまったので、おそらく初期状態と異なる状態になっています。ここまでに出てくる写真を見るとなんとなくわかるのですが、まずはカムの位置が1WAY穴に入っていますが、1.5WAYで組まれていたと思われます。
あとはどう見てもクロスシャフトの上下が逆かなぁと、、、(^_^;)でもどっちの向きでも動きそうですよね。向きでイニシャルトルクを変えられるのではないかと予測、、、。
勉強が足りなかったことを反省です。バラす際はカムの向き、バネの位置など細かく写真を撮っておくことをお勧めします。
SW20 MR2はセリカを前後逆にしたような車なので、ミッション、エンジン等FF流用と思われるものが多くあります。ターボならセリカ用クロスミッションを組んでいる人も多いですよね。
TRDのFR用LSDはほとんど2WAYらしいですが、このLSDは1WAY/1.5WAYに見受けられます。パーツもFRベースではなくFFベースなのかなと思いました。
と思ってセリカ用のパーツリストを見てみたら、やはりSWの文字が出てきます。使えるものもありそうですね。
さて釜側のディスクも出してみました。
各ディスクを計測してみました。どうやら左右の厚さが違うようです。。。とはいうものの、リペアパーツキットは廃盤なので、組み換えで厚さを揃えるくらいしかできません。あとはアルミ板買ってきて自作シムですね。
最後にもう一度組んでみましたが、こんなに出っ張ってしまいました。プレート2枚分は出っ張っている。。。
シャコ万力で締められるようなものでもなかったです。プレスで押しても締まりませんでした。何かがおかしいのでもう一度真面目に組むことにします(^_^;)
ということで、続きます!乞うご期待。
次の記事
ミキシングを中心にレコーディングからマスタリングまで手がけるマルチクリエイター。一般社団法人日本歌ってみたMIX師協会代表理事、合同会社SoundWorksK Marketing代表社員。2021年よりYouTubeチャンネル「SoundWorksKミキシング講座」を展開中。過去には音響機器メーカーTASCAM、音楽SNSサービスnanaのマーケティングに従事。