叩いてみたの作り方 生ドラムの音作りその1 音量バランスと仕分け&ミキシング基礎 [難しさ:やさしい vol.060] GarageBand/ガレバン/叩いてみた

今回より連続シリーズで生ドラムの音作りをミキシング初心者〜中級者向けに解説していきます。機材やツールも無料で使えるものや基本的なものを中心に使って、ドラマーさんなど音系のグッズを持っていない人でも楽しめるようにしていきたいと思います。

Vol.1では基礎的な知識と、今後ミキシングをしていく上で大切になってくる考え方を学んでいきます。実際に音づくりをしていなくても読んでいるだけで自分の音作りに活かせるように書いてみましたので、まだ実際にレコーディングやミキシングをしない人でも気軽に読んでみてください。

今回の記事と連動した動画もあります。

動画で使っているドラムカラオケはアルファノートさんから発売されている森谷先生の教則本「動画でドラムひとり遊び! ドラマーが夢中で叩きたくなる人気曲レシピ【改訂版】」に収録されています。この本に収録されているドラムカラオケはYouTubeの叩いてみたにそのまま使える音源なので、ぜひ手に入れてみてください。

なお、全曲筆者がドラムレコーディング、ミキシングをさせていただきました。

また、動画のドラム音源は森谷先生のドラムスクール主催の公開レコーディングセミナーで収録されたものです。筆者が講師を努め、レコーディングさせていただきました。

収録したドラム音源は権利の関係で配布ができませんので、ご自身で収録されたドラム音源を使って挑戦してみてください。

そもそもミキシングとは?

本記事を読む方はドラマーさんなど普段ミキシングをしない方も多いと思いますので、改めてミキシングについて簡単に説明しておきましょう。

ミキシングというのは、バラバラに録音された状態の音(=複数の音)を、ステレオ(=左右で2つの音)という形式に「混ぜる」ことを指します。

※識者の方へ:サラウンドミキシング等ステレオ以外の話、また、難しい話は本記事では割愛しますのでご了承ください

下の図はカラオケとボーカルをミキシングする場合の概念図です。ドラムの場合はボーカルのところがドラムになり、さらに複数のチャンネル数になると思ってください。

つまりは、録音したままでは一般リスナーが聞けない形式であり、YouTubeにも投稿できないのです。ミキシング(MIX)を通じて誰でも聞ける状態にしていきます。

MIXって何
MIXって何

さらに詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。

すべての素材を使わないという選択 〜ミキシングは仕分け〜

録音が終わった状態を見てみましょう。最上部のトラックがカラオケ、その下に並んでいるのがドラムのトラックです。

  • BD:バスドラム(キック)
  • SN:スネアドラム
  • HH:ハイハット
  • Tom1:ハイタム
  • Tom2:ミッドタム
  • FT:フロアタム
  • Top:トップ ※ステレオ

これらの音をミキシングしていくのですが、ここで大きなコツをひとつ。

録音したからといって、すべての音を使う必要はありません。

むしろ、必要な音を削ぎ落とすこと、音の仕分けを行うことがミキシングであるとも言えます。

マスタートラックに注意する

まず、全ての音を出した状態で聞いてみましょう。

ミキシングは前述の通り複数の音を2つの音(左右の音)にまとめる作業なので、そのまま音を出すとレベルオーバーとなってしまうことが多くあります左右セットとなる2つの音は「ステレオ」という名前(形式=フォーマット)で呼ばれており、言い換えればステレオという名前の箱のようなものです。

この箱から音があふれると歪んでしまい、元の綺麗な音の状態で聞くことができなくなります。したがって、箱からあふれること=レベルオーバーを避ける必要があります

レベルオーバーするかどうかはGarageBandでは右上の横長のメーターで確認することができます

このメーターの最も右側が赤くなっている時はレベルオーバー。GarageBand上では正常に聞こえても他の再生機器で歪んでしまう、他の機器で聞けるように変換した場合に歪んでしまう可能性があります。

ということで、まずはレベルオーバーを避けるためにすべてのトラックのボリュームを下げましょう
ボリュームを操作するスライダーは「フェーダー(Fader)」と呼ばれています。左側が小音量、右側が大音量ですので、フェーダーを左に動かすと音が小さくなります。

ダブルクリックすることで数値入力することもできます。フェーダーを操作して「-6」に設定するか、ダブルクリックして「-6」と入力してみましょう。この数値は音源にあわせて調整する必要がありますが、まずは「-6」くらいからスタートしてみましょう。

ちなみに「-6」という数値はフェーダーの位置を表す数値で、dB(デシベル)という単位で表します。「-6dB」は音響機器の世界では「約半分」を意味します。

使うトラック数を絞って聞いてみる

さて、すべてのフェーダーを「-6dB」した状態で聞いてみてください。多くの場合は思いの外もこもこした音になると思います。

この状態から、以下の3つ以外のトラックの音量を最小にしてみましょう。

  • BD(バスドラム)
  • SN(スネア)
  • Top(トップ)

タム類は先程より聞こえにくくなりますが、バスドラムやスネアは聞こえやすく、良い音になっているのではないかと思います。

音というのが互いに干渉し、影響を及ぼします。条件が整えば良い影響を及ぼすこともありますが、録音してそのままの状態では、多くの場合悪い影響を及ぼします。2つのマイクの音を混ぜると、音が小さくなるという不思議な現象が起こるのです。

この現象を避けるためには使う音(トラック)を最小限に絞ることが重要なのです。

イコライザーで使う音をさらに絞る

フェーダー(音量調整)で使うトラックを絞りましたが、残ったトラックの音をさらに整理してみましょう。

それぞれの音の中で低音・高音などをバラバラに調整することができるイコライザー(EQ=Equalizer)というものを使用します。イコライザーのように後から音質を変化させる機能をエフェクト(エフェクター)と呼びます

まずは低音を整理してみましょう。

トップのトラックにはドラム全体の音が入っていて、当然バスドラムの低音も入っています。トップのトラックに入っているバスドラムの低音と、バスドラムのトラックに入っているバスドラムの低音が干渉しますので、どちらかに絞ってみましょう。

[トラックを選択>スマートコントロール(左上のつまみの絵)>トラック>EQ]と選択します。これでイコライザーを操作することができます。

イコライザー(EQ)が表示されたら、左上の赤い坂のようなマークをクリックして点灯させます。これはイコライザーの中のローカットフィルター(LCF)という機能で、指定した高さより低い音をカットすることができる機能です。赤いマーカーを、右下の[Frequency(周波数)]が[200Hz]になるまで右にスライドさせましょう。

音の高さは周波数で表します。大きいほうが高い音で、単位は[Hz(ヘルツ)]です。

続いてはスネアのトラックも同じように低域をカットしてみましょう。ただし、今度はカットしすぎるとスネアの低音が寂しくなりますので、[Frequency]を[100Hz]くらいにとどめましょう。スネアのトラックのスマートコントロールを選択すれば同じようにイコライザーを設定できます。

それでは再生。

いかがでしょうか?かなりバスドラムが綺麗に聞こえるようになったのではないかと思います。

今後の作業でタムなどのカットした音を必要に応じて足していくことになりますが、ここで聞いたシンプルな音の良い状態を覚えておくことがとても重要で、すべての音作りの基準にになってきます。今後の音作りにおいて、ここで聞いた音よりも悪くなった気がしてきたら要注意。ここで聞いた音よりも悪くならないように音作りをしていきましょう。

もう一度。

すべての音を使わなくても良いのです。

スネアに響きを足してみる 〜リバーブの活用〜

スネアの音には心地よい響きが聞こえることが多いと思いますが、リバーブというエフェクトによって後から響きが付加されていることがほとんどです。GarageBandでも簡単にできるのでやってみましょう。

リバーブに音を送る

まずはスネアの音だけソロ状態にして聞こえやすくします。スネアのトラックの[ヘッドホンマーク](ピンク枠)を点灯させるとソロ状態になります。

続いて、[スマートコントロール>トラック>Controls]と選択し、[マスターリバーブ]というスライダー(フェーダー)を2/3くらいまで上げてみましょう

スネアに響きがついたと思います。マスターリバーブのフェーダーを操作することで響き(リバーブ)の量をコントロールできますので、お好みで調整してみてください。

必要に応じてトップのトラックの[マスターリバーブ]フェーダーを上げることで、トップの音=ドラム全体にもリバーブをつけることができます。

リバーブの調整

リバーブ(響き)の長さや音質も調整することができます。

スマートコントロールを表示したまま、[マスター>エフェクト]と選択し、プルダウンメニューから[マスターリバーブ]を選択。表示されたコントローラーで[TIME]のつまみを動かすと、リバーブの響きの長さを可変できます。スネアにあわせて調整する場合は、曲の1拍くらいの長さに設定すると聞きやすいでしょう。

リバーブが響くととても良い感じに聞こえますね。

ただしかけすぎには注意。良い感じにも聞こえますが、音が濁る原因もリバーブであることが多いのです。リバーブがかかっていない音を覚えておき、明らかにかかっていない時によりも音が濁って聞こえる場合はリバーブの量を減らしてみましょう。

歪まない保険をかける リミッター

今回の最後は音が歪まないように保険をかけます。

GarageBand等の音楽制作ソフトはDAW(Digital Audio Workstation)と呼ばれますが、音が混ざってDAWソフトウェアから出力される直前の最終セクションでも音質調整が可能であり、最終セクションは「マスターセクション」と呼ばれます

レベルオーバーすると歪んでしまうのは先述の通りですが、歪まないように自動的に抑え込むエフェクターがありますので使ってみましょう。

どのトラックを選択した状態でも構わないので、[スマートコントロール>マスター>Output]と選択します。

[プラグイン]というセクションが表示されます。プラグインというのは「プラグイン・エフェクト」のこと。つまり、イコライザー等のエフェクターのことです。

マスターセクションでは複数のエフェクトを使うことができ、初期状態で複数のエフェクトが表示されています。最も下に表示されているプラグインエフェクトの右端(赤丸)をクリックしてみましょう。

すると選択可能なプラグインエフェクトのリストが表示されますので、[Limiter(リミッター)]を選択しましょう。見当たらない場合は[Dynamics]というカテゴリの中に入っています。

選択すると[プラグイン]の項目に[Limiter]と表示されますので、クリックするとポップアップウインドウが表示されます。これがリミッターエフェクトを操作する画面です。

[Output Level]を[-1.0dB]に設定してください。これは、「出力される音量を[-1.0dB]に抑える」という設定です。デジタルレコーディングでは0dBが箱満杯ですので、0dBを超えるとレベルオーバー。設定値を0.0dBにしても良いのですが、ギリギリすぎてレベルオーバーする可能性があるので、余裕をもって[-1.0dB]に設定しています。

これでレベルオーバーしにくくなりました。

もちろん過度に各トラックのフェーダーをあげるとリミッターがあってもレベルオーバーするか歪んでしまいますが、適度に調整された音量であれば、瞬間的なレベルオーバーはリミッターで防ぐことができます。とにかく歪まないように注意するということを覚え、徹底するためにリミッターを使用しました。

書き出して聞いてみる

最後にGarageBand以外でも聞けるように書き出しをしてみましょう。

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