山好きに贈る夏の大室山 [西丹沢VC〜犬越路〜大室山〜加入道山〜白石峠/周回] 丹沢紀行 vol.2
これまでに登ってきた登山コースを自由気ままに紹介していくコーナー。
今回は裏丹沢の秀峰「大室山」。丹沢山系では檜洞丸1,601mに次ぐ1,587m、第3位の標高を誇ります。蛭ヶ岳、塔ノ岳など眺望の良さで名を馳せる山とは真逆、眺望が全く無い山頂を持っています。故に人が少なくマイナーな山として知られ、丹沢が好きな人しか登ってこない山でもあります。
その黒々とした山容はまさに威風堂々、裏丹沢の盟主だと言わんばかりの迫力を持っています。
ここで紹介しているコースでは裏丹沢の登山基地、西丹沢ビジターセンターを起点に大室山を目指し、同山域を周回。丹沢の山と沢、プチ縦走が楽しめる名ルートです。
※本記事はヤマレコに投稿した山行記録を再編集したものです。
※記載されている情報は2021年7月20日現在のものです。
コース概要
大室山と加入道山を巡る周回コース。沢から登り、沢を下りてくる沢系コース。丹沢の魅力を存分に味わうことができます。ロングコースであるためペースダウンやトラブルによる遅れを考慮し、暗くなっても歩きやすい長い林道部分を後半に回した左回り周回です。
コースの多くは東海自然歩道に指定されているためよく整備されています。しかし初心者におすすめするにはやや厳しい、山好きにお勧めのコースです。
■コース
1日目:西丹沢VC〜つつじ新道分岐〜用木沢出合〜犬越路〜大杉丸〜大室山〜前大室〜加入道山〜白石峠〜林道終点〜用木沢出合〜西丹沢VC
エリア:丹沢
コースタイプ:周回
コース長:17km
日程:日帰り
難易度・危険度:★★★☆☆(一部危険箇所あり)
初心者お勧め度:★★☆☆☆(山好きは楽しいが初心者には厳しい)
アクセス:★★★☆☆(山深いがアクセスは良い)
登山口とアクセス
車の場合は東名高速の大井松田ICで下りてから246号を登り丹沢湖方面へ。ICから1時間弱ありますので時間には余裕を。また、コンビニ・ガソリンスタンド等は246号沿いで見つけ次第寄っておくことをお勧めします。丹沢湖が近づくにつれ店舗がなく、特に朝は開いていません。
電車の場合は小田急小田原線の新松田駅かJR御殿場線の谷峨駅からバスにてアクセスします。バスは西丹沢VCが終点となります。
西丹沢VCの駐車場は無料ですが、人気の登山口であるため休日は朝早くに満車となる可能性が高く注意が必要です。西丹沢VCの奥にキャンプ場がありますが、予約者以外立ち入ることができません。逆に言えばキャンプ場に前後泊すればさらに奥の駐車場を使うことができるかもしれません。
詳細ログ
コースのみどころ
富士山〜丹沢の眺望
大室山、前大室、加入道山、どの山も山頂からの眺望は乏しいのですが、稜線上からは富士山や裏丹沢、箱根方面の山を望むことができます。富士山は他の山ではあまり見ることができない、裏丹沢特有の距離感です。
丹沢の険しくも美しい沢
このコースは登りも下りも沢コース。丹沢はその名が示す通り美しい沢を多く持ち、沢登りのメッカでもあります。数多くの渡渉を繰り返して進むため沢の魅力や丹沢の水の生い立ちを存分に感じることができます。
豪華だが足場は木製 整備された用木沢下流部 用木沢の河原をゆく 澄んだ色の水 丹沢水系の源流部を歩く 下流部では美しい青色の水に
稜線上の植物
丹沢は険しいものの標高としては低いため、稜線上は多くの植物で覆われています。時期がマッチすれば躑躅系や紫陽花系の花が目を楽しませてくれるでしょう。また大室山付近の木道エリアはコバイケイソウの大群落があり、花期は白い花に囲まれた登山になると思います。お勧めは6−7月です。
- タマアジサイ(玉紫陽花)
ノイバラ(野茨) シモツケソウ(下野草) コバイケイソウの群落を抜ける木道 緑に包まれた山頂 アサギマダラ(浅葱斑)
確認できた植物
※同定は検索による予測であって確定情報ではありません
- シモツケソウ(下野草)
- マルバダケブキ(丸葉岳蕗)
- ノイバラ(野茨)
- セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)
- タマアジサイ(玉紫陽花)
- ヤマボウシ(山法師)
- コバイケイソウ(小梅蕙草)
コースの難所
大きな危険を伴う難所は特にありませんが、沢系ルートであるため水量には注意が必要。大雨や台風の後は渡渉不可となる可能性が高く、また、登山道の崩落も予想されるため十分な注意が必要です。
唯一犬越路までの登りでは2年前の台風による崩落より登山道が険しくなっており、一部高度感と難易度のある道がありますので注意して通過しましょう。
右岸山道は崩落の跡が見られる 2年前の台風で崩落した階段 設置されたロープで急斜面を登る
ルート解説
西丹沢VCより林道を歩き用木沢出合より山道へ。古さはあるものの整備された山道を遡行します。渡渉を繰り返しながら堰堤を越えて高度を上げ、道はやがて沢の深部へ。傾斜が厳しくなり、台風による崩壊で難所化した厳しい登りを越えると犬越路に飛び出し眺望が開けます。
林道から望む大室山 橋を渡って用木沢をゆく 下流部の渡渉は橋がある 鎖場もあるが危険度は低い 沢を遡行 犬越路休憩所
犬越路から大杉丸までは厳しい登りが続き、以降は傾斜の緩い稜線歩き。富士山や箱根方面の眺望がひらけ、草木を愛でながら高度を徐々に上げていきます。頂上直下の登りを越えると縦走路に到着。さらに平坦な道を進むと眺望はありませんが、いかにも丹沢らしい大室山山頂です。
大杉丸への急登 整備された稜線上の木道 夏の緑が空に映える縦走路 丹沢名物の階段を登る 大室山山頂への最後の登り 眺望は無いが広い大室山 山頂
白石峠までは下りメインの縦走路。2回のアップダウンがあり、前大室手前の破風口への下り、登り返しは疲れた足腰に堪えるものになるでしょう。次いで馬場峠に下り加入道山へも登り返し。加入道山の山頂は広く整備され休憩適地です。白石峠は加入道山山頂からすぐに到着します。
木道で渡るコバイケイソウの群落地 下りでは展望が開ける 木が多いため直射日光は少ない 破風口への厳しい下り 休憩に適した加入道山 白石峠にも机がある
白石峠からは沢ルートの下り。厳しい傾斜を越えると沢と出合い、沢沿いに高度を下げていきます。渡渉を繰り返し、沢の涼しさを感じながら下るお勧めのセクションです。渡渉において橋を使う場所もあり、橋が崩壊している場所もあるので注意して渡渉しましょう。堰堤が出てくると道は廃林道に。舗装が出てくるとまもなく終了、ゲートが見えれば用木沢出合で一周です。
水が出るまでV字の谷を下りていく 沢の源流とともに下る 渡渉を繰り返して高度を下げる 白石の滝付近では高巻き 数々の堰堤を越えていく 廃林道で用木沢出合へ
ミキシングを中心にレコーディングからマスタリングまで手がけるマルチクリエイター。一般社団法人日本歌ってみたMIX師協会代表理事、合同会社SoundWorksK Marketing代表社員。2021年よりYouTubeチャンネル「SoundWorksKミキシング講座」を展開中。過去には音響機器メーカーTASCAM、音楽SNSサービスnanaのマーケティングに従事。