早く寝たい!ProToolsオフラインバウンス高速化への道 vol.1 〜外付けUSB3.0 SSD導入〜
最近ハイレゾライブ盤のお仕事が多く、オフラインバウンス(動画で言うところのレンダリング的な作業)の時間が睡眠獲得の足枷に。笑
なぜ今になってそんなことを言うのかと言う方もいるとは思いますが、従来は24/48(従来のフォーマット)の仕事が多かったこともあり、単独楽曲の場合はそこまで問題にもならなかったのです。
しかし最近はだんだんとハイレゾ指定(従来のフォーマットより高解像度)の仕事が増え、さらにライブ音源という長時間モノの仕事が増え、オフラインバウンスの時間も比例して増加傾向にあります。
1曲の場合、所用時間が400秒と440秒の作業の差は気にするほどではありませんが、10曲、15曲になるとなかなかの違いが出てきます。
オフラインバウンスの時間は負荷が高いほど長くなる傾向にあるので、ハイレゾでは長め。さらにジャズだったりすると曲自体も長くなるので、ライブトータルだと作業時間に数十分レベルの差が出てきます。
ということで速く寝るために「オフラインバウンスの待ち時間」に目をつけ、高速化に向けたアイディアを試していきたいと思います。
はい、ワタクシの人柱の記憶を綴るシリーズです、ご覧あれw
目次
どうやって高速化するか?CPUスペック上げる?
パソコン作業で高速化という目的に対して最初に思いつくのはCPU高速化です。パソコン買い替えやCPU換装が考えられますね。
しかし噂に聞くゴミ箱/おろし金Mac Proはなかなかのお値段。個人的にはその前のデザインが好きで、新しいMac Proを買う気はしないのです苦笑。
では換装、、、とはいうものの、使っているのがMacBook Proなので、換装は不可能です。
加えてProToolsの場合、ただ単純にスペックが高いマシンを買えばいいかというと、疑わしいところ。というのも、ProToolsの場合単一のトラックの処理はマルチコアに分散されないんですよね。
ひとつのトラックに複数のプラグインをかけた場合、その処理はひとつのコアで行われます。1トラックのセッションだった場合、1coreでCPU使用率60%の処理を12coreのマシンでやってもやっぱり12coreのうちの1coreで60%使用率になるという事です。(ざっくりそういうことらしい)
こんな感じですよね。ProToolsをよく使う人は見慣れたバーの分散具合だと思います。この場合Core 2に負荷が集中しています。4coreに平均的に分散される訳ではないということです。
つまりマルチコアのスペックが高ければ単純に解決するかというと、多分そんなことはなく、シングルコアでのスペックも高い必要があるということです。(推測)
シングルコア性能の高いものとなると、やはり新しいモデル。かなりのお値段です。
ということで、CPUスペックアップ以外でお手軽に高速化できる方法が無いか考えてみます。
どうやって高速化する?読み書きを高速化する!?
オフラインバウンスって単純に早回し再生に近い処理だと思うので、再生時に何をしているか考えれば高速化のヒントがあるのではないかと考えました。
再生と考えればHDDからの読み込み、そのデータに対する音声処理(演算)、最後に完成したファイルの書き込み。であれば、演算が飽和していない場合は、データの読み書きの高速化でバウンス高速化できるのではないか?と。
現在USB3.0のHDDを使っているので遅くはないとは思うのですが、一方で最近の世の中にはSSDというソリューションがあります。
速度が速い一方で大容量化が進んでいませんでしたが、最近では大容量のものが安価に入手できるようになってきました。回転体が無いため振動に強いという特徴があるため録音にも適しています。
(昔むかしに同室ドラムレコーディングをしていた時に、ドラムの振動で実は録音できていなかった、という事例に遭遇したことがあります、、、振動は録音の敵!)
SSDが速いという話はたくさんあるんですが、ProTools高速化に関してSSDが有効であるという話はあまり見受けられませんでした。
しかし。
早くなりますよね!なるなる。きっと早くなる!だってSSDだもん!(謎
ということでやってみることにしました。(やってみたいだけ笑)
とりあえずデータデイスクをSSD化してみた。結果は、、、!?
ということで、大した値段でもないので即日SSDを購入。Amazonの早さも待てずに久しぶりにヤマダ電機に行きました笑。
実物はこちら。驚きのサイズと重さ。なくしそうです笑。
ちなみにNTFSでフォーマットされているので、最初にディスクユーティリティでフォーマットする必要があります。アプリケーション>ディスクユーティリティで、[消去]です。違うディスクを消去しないようにお気をつけて。
とりあえず早く高速化を体感してみよう!(待てない)
とある睡眠時間を削って作業した納品済ハイレゾセッションをSSDにコピーしでBounce to Disk。フォーマットは24bit/96kHz、8トラック、9分の曲です。外付けHDDではバウンス時間1.8倍速くらいだったものが、、、
1.8倍速。
かわんねーorz 笑
いや、なんていうか、もっとガツーンと速くなってほしい訳ですw
実はそんなに速くないのか?
ガタガタ言ってもアレなので本当に速くなっているのか測ってみましょう。(最初に測れよ)計測にはBlackMagicDesignの無料アプリを使用しています。
▶Blackmagic Disk Speed Test
https://apps.apple.com/jp/app/blackmagic-disk-speed-test/id425264550?mt=12
計測してみると、、、書き込み5MB/s。
5MB/s、、、ちなみに読み込みも175MB/sとHDDよりは速いものの、このSSDの理論値に遠く及ばず。
アレ?激遅!?
実は、macでこのSSDを何回か使用しているうちになんだか速度が極端に遅くなってしまいました。ただのデータコピーもすごく時間がかかる。書き込める時間と書き込めない時間ができてしまい、書き込みに待ち時間があるような賞状です。
初期化しても何をやっても回復せず。。WindowsでNTFSフォーマットで使用する分には問題ないのですが、macで使用すると遅くなってしまう状況です。不良品か?^^;
ということで今回購入したSSDはWindows用に。
※SSDの4Kアラインメント調整(車の話ではないです笑)というのがあるのでやってみたのですが解決しませんでした。参考にさせていただきました↓
https://www.reneelab.jp/4k-alignment-introduction.html
“その他”のストレージの計測をしてみた
ということで外付けSSDで計測ができなくなってしまったのですが、他のデバイスは計測できるので計測してみました。
これは外付けUSB3.0HDD。
書き込み121MB/s、読み込み124MB/s。USB3.0の転送速度は5Gbps(Bit/秒)、MByte/sに換算すると625MB/s。(8で割れば換算できます)
噂通り全然625MB/sには届きませんね。まぁHDDだとこんなもんでしょうとは思いますが、USB3.0の理論値までだいぶ遠い。
次は内蔵SSD。
気が付きました?
何かがおかしいことに、、、
もう一度。
これは内蔵SSDの速度です。
ん?
内蔵!?
SSD、最初から持ってましたねそういえば、パソコンの中に!笑
、、、買わなくても内蔵SSDでテスト出来たじゃん!笑
そして、、、内蔵速いな!読み込みはUSB3.0 HDDの約9倍!
ということで、内蔵SSDにデータ移動し、同じセッションでのバウンス時間を比較してみました。
内蔵SSD vs 外付けHDD バウンス時間は変化なし!?
実験したセッションファイルはこちら。
24bit/96kHz、7トラック。書き出しフォーマットも24/96です。プラグインはそこそこ使用しており、MAXで70%程度のCPU使用率です。
このうちの1曲(6分17秒)を書き出してみます。まずは外付けHDD。
結果は2.2倍速(理論値:171.3秒・約2.8分)でした。
では内蔵SSDにデータを全コピーして同じ作業をしてみると、、、。
遅くなってんじゃん笑
最も速い時は2.2倍速まで行きましたが、概ね2.1倍速(理論値:179.5秒・約3分)で推移しました。
読み込み速度、約9倍の差があるんですよ。しかし差が出ない。なんと。。。ProToolsってどういう仕組みなんだコラ。笑
次なる高速化施策は?メルカリと悪魔の囁き。
おそらく多少は環境や使い方で差は出るでしょうが、少なくとも僕の環境ではSSD化でProToolsオフラインバウンス高速化は望めない、ということがわかりました。
心情を加味して正確に表現すると睡眠時間には影響しない笑
さてどうするかな、、、
やっぱりCPUの数字が大きいモデルに買い替えでしょうかね。素直にゴミ箱mac proかおろし金mac proを導入すれば良いのですが、買う気にならないんだよなぁ、あのデザイン、、、苦笑。
そこまでお金無いし。
そんな時にメルカリを見ていると、、、
アレ?mac pro安くない!?銀のmac proってそんなに安いの?
Mac Pro Early 2008 A1118
2×2.8GHz Quad-Core Intel Xeon
¥16,000
「今のMacBook ProよりCPUも”速くて” 、8コアある!」
※知ってる人はこの時点でこいつバカだなと思うと思いますがご容赦くださいw
パソコンを昔からやっている人はこう思う訳です。
数字がデカイのが速い。
僕も自分用のパソコンなんてそんなにたくさん買いませんので、正直「強いmac」を自分用で買ったことは多くありません。自分でトラブルに直面したり買ったりしないとそこまで詳しくなりません。Windowsはいくつか作りましたが、macは持ち運び重視で導入したMacBook Proが最後。デスクトップ型macについては、PowerMac G5くらいで情報が止まってます。笑
そんなオジサンはこう思ってしまうのです。
数字がデカイのが速い。
昔はそうだったんです。とにかく数字がデカイのを買えばよかった。Quadra 840AV 68040の頃からパソコンいじってるとそういう記憶になっているのです。
▶週刊アスキー 祝 Macintosh 30周年!! 68Kの主力モデル、初のAVシリーズも登場|Mac
https://weekly.ascii.jp/elem/000/002/620/2620878/?r=1
そんな昔の人に、スマホ画面の下からピョコっと出てきた悪魔の囁き。
メルペイ残高26,866円をお持ちです
つづく。笑
※僕もパソコン屋でもSEでも無いので認識に誤りがあるかもしれません。間違えてたらこっそり教えて下さい。
ミキシングを中心にレコーディングからマスタリングまで手がけるマルチクリエイター。一般社団法人日本歌ってみたMIX師協会代表理事、合同会社SoundWorksK Marketing代表社員。2021年よりYouTubeチャンネル「SoundWorksKミキシング講座」を展開中。過去には音響機器メーカーTASCAM、音楽SNSサービスnanaのマーケティングに従事。