音響拡散体「オトノハ」でモニター音質改善!レビュー&使い方ノウハウ

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自宅で音楽制作を行うユーザーの間で最近話題のルーム・チューニンググッズ日本環境アメニティ株式会社さんがリリースする音響拡散体「オトノハ。当スタジオでも導入してみましたが効果抜群。価格も安く導入しやすい「オトノハ」を使って、モニター音質改善に取り組んでみました。

製品提供:日本環境アメニティ株式会社

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オトノハとは?

オトノハ日本環境アメニティ株式会社さんがリリースした音響調整グッズ。ボーカル録音から、配信、吹奏楽、さらにはテレビ会議まで、音に関わる人すべてがターゲットにされたルーム・チューニング・グッズで、置くだけで部屋の音質を改善することができます

縦300mm×横300mm×奥行42.5mmのプラスチック製品で、1枚約600g。価格は10,780円(税込)となっています。ルーム・チューニング・グッズとしては安い部類なので、個人でも複数導入が容易な製品だと言えるでしょう。

使い方は簡単で、音がぶつかる場所に設置し、音の反射を変化させます。耳に届く音は直接音といろいろな反射音の合成音。オトノハで跳ね返ってくる音の質が変わるために、合成される音が変化し、聞こえる音が変わります。

高度に計算された構造をしており、音の反射をコントロールすることができるようです。実際、オトノハを持って喋っているだけで変化を感じることができます。

普段聞いている音は直接音反射音が混じった音です。レコーディングスタジオ等の音響特性がコントロールされた場所意外では想像以上に多くの反射音があり、反射音が直接音、または他の反射音と合成されることで音質が変化します。つまり、反射がコントロールされた設計の場所でない限り反射音は悪い影響の方が多いので、自宅のような場所では反射音が少なくなることでクリアな音になります

直接音と間接音のイメージ図

従来より様々なルーム・チューニング・グッズがありますが、どれも高額で導入しにくいのが難点でした。オトノハは高度に計算された高度なチューニンググッズでありながら、価格が抑えられていることが最大の利点です。

録音や楽器演奏用途が挙げられていますが、もちろんミキシング環境の改善にも使うことができます。スピーカーから出た音の反射をコントロールして、モニター音質の改善を図る事ができます。

実際効果あるの?

僕の感覚値だけでは心もとないので、オトノハを使用して特性の変化を計測してみました。計測にはNeumann Automatic Monitor Alignmentを使用しました。これはNeumannのモニタースピーカーの音質を最適化(キャリブレーション)するための専用ソフトウェアで、部屋の音響特性を専用マイクで測定し、表示することができます。

詳細は以下の動画にて!

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まずは、オトノハなしの特性です。

オトノハの特性を際立たせるため、ルームチューニンググッズはすべて撤去して計測しています。点線が部屋の特性で、実線が修正後。したがって、点線を見てください。低域100Hz/160Hzあたりが大きなディップ/ピークとなっていますが、これはルームチューニングなしの6畳間の一般的な特性です。部屋のサイズからこの辺りの帯域にディップ/ピークがでます。

オトノハなし

1枚ずつ見ていくと違いがわかりにくいので、先に計測パターンを紹介し、最後にまとめて特性をお見せします。

パターン1:デスクトップ

机は硬いので、ものすごく音を反射します。ということで、に置いてみました。

オトノハは裏側にゴム足がついているので、置くだけで机との間に適切な隙間を設けることができます。

パターン2:スピーカー背面

スピーカーは後ろにも音が出ています。スピーカー背面の壁は影響が大きい反射面です。スピーカー背面の壁の反射を抑えるために、スピーカーの後ろにオトノハを設置してみます。背面への設置では、カメラ用のクリップクランプを使用して取り付けました。オトノハの裏側三脚穴があるので、カメラ用のグッズが取り付けられます

パターン3:天井(吊るし)

KH 80 DSPは前後左右の音の飛び方が細かく制御されているスピーカーですが、それでも天井に向かっていく音はあり、当然天井でも反射します。これらを拡散させるため、天井から吊るしてみました。

天井には突っ張り棒を設置して、オトノハを吊るすためのレールを作りました。カメラ穴用のネジ携帯ストラップを使って高さ調整が可能な構造としました。突っ張り棒自体の耐荷重は突っ張り棒によって様々ですが、オトノハ自体は1枚あたり600gしかないので、太めの突っ張り棒ならほとんどの製品が耐荷重の範囲内です。

パターン4:スピーカー脇

音は上下左右にも出ていくので、横の壁周辺の平面でも反射します。当スタジオの場合、撮影用の照明がありますので、照明にクリップクランプで取り付けました。効果があるなら照明を片付けなくても済むようになるので、大変ありがたいです(苦笑)。

パターン5:後ろ

実際に使えるかどうかわかりませんが、頭の後ろにも設置してみました。今回は上から吊るしていますが、マイクスタンド<>三脚穴アダプターカメラ用アングルを用いてマイクスタンドに取り付けて設置することもできそうです。(マイクスタンドにあわせた変換ネジをご用意ください)

パターン7:全部

パターン1〜6全部です。吸音やルームチューニングにおいて、やりすぎると良くない結果を生むことが多々あります。オトノハは枚数を増やすとどう変化するのか試してみました。

測定結果 – 目に見える効果が!

まず、厳密な測定ではないことをご了承ください。それぞれ1回しか計測していません。傾向性を見るための実験だと捉えていただければ幸いです。

Neumann MA 1 Automatic Monitor Alignment を用いて計測しており、点線が測定結果、実線がスピーカー補正後となります。よって、点線を見てください

計測結果から見えてきたことを3つ挙げてみます。

結果考察1:周波数特性が落ち着く

周波数特性が安定する傾向が見られます(フラットな特性に近づく)。音が拡散されたことで、反射音が打ち消し合う、合成されて大きくなることが少なくなり、結果的にフラットに近づいたものと思われます。スピーカーはフラットな特性を目指しているものが多く、そのようなスピーカーでは、スピーカーから出た瞬間はフラットです。しかし耳に届くまでに変化します。つまり、フラットなままモニターできるのがひとつの理想です。オトノハを用いることで理想のサウンドスピーカー本来のサウンドに一歩近づくということが言えそうです。

結果考察2:中低域にも効果ありそう

軽い製品なので中域以下は効果がないかと思ったのですが、その効果は中高域〜高域に限られておらず、中低域くらいまで変化があるようです。特に250-300Hzあたりのピークが落ち着く傾向が見られます。3天井、4スピーカー横、5背面で顕著に表れています。

結果考察3:少ない枚数でも効果が出ている

枚数と効果は比例関係にないようです。もちろん効果は高まっていくので、6全部入りが最も音質改善効果が大きいと感じます。しかしながら、無しとありの差が圧倒的に大きく、あとは枚数が増えても変化は少なくなります。

つまり、部屋全面に設置する必要はなく、少ない枚数でも効果がでると考えられます

効果的な使い方(案)

計測結果を踏まえ、効果的な使い方を考えてみました。あくまで経験私的計測結果を踏まえての私見であり、メーカーさんに相談したものではありません。

まず、最も効果を感じるのは卓上でした。次いで背面(頭の後ろ)です。ご自宅であればこの2点に2枚設置してみるのが良いように思います。卓上は作業スペースが狭くなってしまうので、そもそも小さい机にすれば良いという話もありそうですが、、、苦笑。

また、当スタジオの場合はスピーカーからスピーカー背面の壁まで距離があり、さらに壁側が平面ではないため効果は少なかったようですが、スピーカーが壁に近い場合はスピーカー背面も効果は大きいでしょう

スピーカーからの反射が変わることで効果があるわけですから、録音で使用しても効果はあります。外での録音でも活躍しています。マイクの後ろの壁は効果絶大でしょう。測定を見る限りではボーカルの帯域を効果的に拡散できるので、マイクを買い替えるくらいの変化が現れると思います。

以下はソプラノサックスの録音で使用した例。ソプラノサックスは楽器の構造的に床の反射の影響が大きいために、床に置いたら効果絶大でした。録音自体はラッパに向けないのですが、床面の反射が抑えられることで、マイクに入る音が変わります。※写真に写っているサックスはテナーです。

その他、ソプラノサックス録音のように、マイクの高さが低い場合は有効です。こちらは床置きのパーカッションを録音した例。音がタイトに、クリアになりました。

最後に、意外とインテリアに馴染みます。卓上においても気にならないので、すっかり馴染んでしまいました。また、プラスチックなので、ラッカー塗料を使えば簡単に塗ることができます。当スタジオは白+植物(緑)なので、緑に塗ってみました。これはこれで良いのですが、白のままの方が馴染んだような気もします(苦笑)。


さていかがだったでしょうか。ルームチューニングはとにかくお金がかかるイメージですが、オトノハは気軽に取り組むことができます。楽器演奏者の場合は楽器より優先して購入するには勇気が必要でしょうが(苦笑)、歌い手、MIX師、ミキシング・エンジニア、さらにはナレーションを録音する声優さんやVTuberにも最適な製品です。オトノハから響きを考えることに挑戦してみてはいかがでしょうか。

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