パラミックス徹底解説 Pistaさん編2-4〜大事なパートを大事に!MIXの重要ポイント3選〜[vol.104 難しさ:ムズい] パラミックスの方法・やり方

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DTMerやパラミックスに興味がある人なら誰しも気になる「ミキシングの中身」。4回にわけて、Pistaさんの生演奏アレンジ歌ってみた「チーズケーキクライシス/西沢さんP」のパラミックスのポイントを解説していきます。ひとつでも役に立つ技があれば嬉しいです。

第4回はドラム及びベーストラック以外トラックについて、本楽曲におけるミキシングの要点を解説。特に重要なポイントをピックアップしてみましたので、参考になれば嬉しく思います。

各回の内容の目安は以下の通り。

  1. マスタートラックと音圧調整のポイント
  2. ボーカルとハモリのトラックのミキシングのポイント
  3. ドラムとベーストラックのミキシングのポイント
  4. その他の楽器のミキシングのポイント

動画版はこちら

このアレンジでの重要パート「ピアノ」のミキシング

この楽曲において恒常的に演奏しているパートは、以下の3つがあります。

  • ピアノ
  • アコースティックギター
  • エレキギター
ピアノ、AG、EGの3つの演奏時間が長い

筆者はこの楽曲においてはピアノが最重要であると判断しました

楽曲のかわいさPOPさを前面に出したミキシングを考えると、上記3パートの中ではアコースティックギターかピアノを大きく扱うのが適切です。エレキギターを大きく扱った場合はバンドサウンド、ロックサウンド傾向の仕上がりになります。後述のストリングスパートとのマッチングという観点からもピアノを中心に扱うメリットがあります。ピアノ+ストリングスを中心に扱うことで、通常のバンドサウンドと異なる豪華なサウンドを演出できます。

アレンジにおいて重要なパートを見極め、際立たせることは重要なプロセスです。すべてのパートを同じように扱っていると平面的なサウンドになりますし、特徴も出てきません。

バランスを変えるだけで音楽性が変わるという手法なのですが、以下の記事で詳しく解説しています。

ということで、最重要であるピアノの音作りは重点的に行なっています。

ピアノトラックではバスドラムスネアドラムでも行われたリアンプという手法を用いて際立つ音作りをしています。ピアノのりアンプではバスドラム・スネアドラムと異なるプリアンプNEUMANN V 402を使用しています。前回も述べた内容ですが、すべてのトラックでリアンプすると目立たせたい音とそうでない音の差がなくなりますので、重要なパートに対してリアンプという手法を使っています。

NEUMANN V 402
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NEUMANN V 402経由でリアンプ、再録音

リアンプ前(出力前)に若干の音作りをしており、Waves F6-RTAによるイコライジング、Waves Renaissance AXXによるコンプレッションを行っています。リアンプ後はWaves F6-RTAイコライザーのみかかっています。これは、リアンプ後の音を楽曲全体に適応させるためのイコライザーです。

  • (リアンプ前)Waves F6-RTA:音質補正用イコライザー
  • (リアンプ前)Waves Renaissance AXX:音量を整えるための簡易コンプレッサー
  • (リアンプ後)Waves F6-RTA:全体になじませるための最終調整用イコライザー

初段のF6-RTAでは中低域を大きくカットしています。これはピアノの音をスッキリさせるための調整であり、また、ギターが担当する帯域を空けるためのカットでもあります。

以上のような音作りによって、楽曲のどの場面にあってもピアノが埋もれないようにしています。

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ストリングスの音作りとオートメーション

前述の通りストリングスを大きく扱うことで豪華さを演出したいので、その目的にあわせたミキシングを行っています。ただストリングスを大きくするとうるさいだけになってしまうので、フェーダーオートメーションを用いています

ストリングス自体は6パート構成となっています。バイオリンが4本ありすべてステレオ音源でしたが、情報量が多すぎると判断したため、L/R分割しR側トラックだけ使っていますビオラも2トラックありますが、こちらはステレオのまま使っています。これら6トラックをAUXバス(グループチャンネル)であるStrings MIXにまとめています。

また、データの音量が小さかったので、各クリップを扱いやすい音量にあげています(ゲインステージング)。すべての音量を適正化して再書き出ししてもらえるようアレンジャーさんにオーダーしても良いのですが、現実的にはプロ・アマ問わず、小さい音量(アレンジ時のフェーダー位置が有効な状態)でデータ化されていることが多いです。したがって、よほど小さいか問題がある、音質が相当劣化する場合を除き、ゲインステージングだけで対応してしまいます。

ストリングスのトラック

音源自体の質は良かったので、各トラックでの音作りは最小限です。各トラックのF6-RTA耳につく高域をEQ+ダイナミックEQでカットRenaissance AXXアタックタイム0ms設定としてアタック音を削り耳当たりを良くしています。

主な音作りはAUXバス(グループチャンネル)で行っています。F6-RTAでは耳につく帯域と中域の音溜まりをEQ+ダイナミックEQで調整。その後Overloud Gem Modでコーラスエフェクトをかけてステレオの広がり感を強く出しています。このコーラスエフェクトによって若干位相が悪くなり引っ込んだ音になるので、音量を上げてもピアノやギター等の楽器を邪魔しないようになります。同時に位置が広がるため、下がっているけど聞こえる音を作っています。

最後のWaves L1 limiterは突出したピークを確実に抑えるために挿入されており、音作り的な目的ではありません。(ほとんど作用していません。)

最後にオートメーションで生ストリングスのような音量の揺れや盛り上がりを作っています。揺れや盛り上がりは打ち込みの段階でも作られていますが、多くの場合、ミキシングで他のトラックと一緒に再生するとデータで作られた迫力が若干失われてしまいます。

フェーダーオートメーションではもともとの迫力を復活・加速させるようなイメージでフェーダーを動かします。指揮者の気分になってフェーダーを書くと良いオートメーションがかけると思います。フェーダーは最大6dB程度の範囲で上下しています

ストリングスのフェーダーオートメーション

曲を派手にするブラス・フォール

最後の要点は、ブラス・フォール。このトラックがきらびやかに、かつ、大きく出ていることで曲全体の雰囲気が大きく変わります。ブラスが入ることで豪華にもなりますし、サビの盛り上がりも大きくなります。

トラックは3つで構成されており、シンセサイザー(打ち込み)のステレオ・ブラス・フォールと、生演奏のサックスによるフォールが2トラックです。

上からステレオブラス、サックス1、サックス2

3トラックともに1176タイプコンプレッサーAvid BF-76を強めにかけて、コンプレッション感の強い=押しの強いサウンドにしています。リリースも遅めに設定し、むしろコンプ臭いサウンドを目指しています。

ステレオブラスについてはF6-RTA大胆に高域を強調し派手なサウンドに調整してコンプレッサーをかけ、TAL CHORUS LXコーラスエフェクトを用いて左右の広がりを出しています。最後にL/Rチャンネル感の音量(音圧)の差を整えるために、R側だけ2dB上げています。

これらの設定・音作りによって、フォールが出てきた時に明るく開けるようなイメージを作ってみました。


4回に渡ってPistaさんのパラミックス・歌ってみたを解説してきましたが、いかがだったでしょうか。

ミキシングとはひとつひとつの楽曲にあわせて行われるものであり、紹介した手法がすべての楽曲に使えるわけではありません。しかし、かならずどこかで使える場面が出てくるはずです。紹介した手法を使えそうな機会があれば、積極的に試してみてください。トライ&エラーで音作りの引き出しが増えていきます。曲にあわせた技を選ぶ判断こそがミキシングでもあります。

色々な技を試しながら、ミキシングを楽しんでみてください。

別シリーズのご案内

同じくPistaさんの別動画の解説シリーズもあります。あわせてご覧ください。